金融商品取引などをかたった「特殊詐欺」の昨年の県内被害額が、一昨年の約３倍となる約４億１０００万円だったことが県警への取材で分かった。今年も３月末で３４００万円を超え、昨年同時期とほぼ同じペースで増えている。手口も巧妙化しており、県警は安易にもうけ話に乗らないよう注意喚起している。【丸山宗一郎】

　特殊詐欺はギャンブルや交際あっせんに関するものもあるが、圧倒的なのが「金融商品取引」。昨年の被害４４件のうち、３８件約３億８７００万円を占めた。オレオレ詐欺への警戒が高まる中、巧妙に投機心をあおる手口が目立つ。

　県警によると、合志市の６０代女性は昨年、約７８００万円をだましとられた。３月１日、女性宅に証券関係と思わせる社名を名乗り「未公開株の損失を取り戻せる」と投資を勧誘する電話があった。女性は過去に実際、損失があったといい、指定口座に６回にわたって現金を振り込んでしまったという。

　被害者の年齢層にも特徴がある。４４件中４２件は５０歳以上。資産に余裕があり、投資に関心がある層が狙われている。県警生活安全企画課は「油断禁物。うまい話があっても自分だけで判断せずに、家族や友人など第三者に相談して」と呼びかけている。