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事件
興行資格から偽装結婚へ 「永住権獲得」変わる手口
東南アジアや中国などの女性が、見ず知らずの日本人男性と入籍だけして別々に生活する偽装結婚は、手っ取り早く日本人配偶者の資格や永住者の資格を得る手段として、10年ほど前から急増。日本人男性を紹介するブローカーも暗躍しており、ブローカーに渡る仲介料は数十万円が相場とされるが、捜査当局による摘発は「氷山の一角にすぎない」との見方も根強い。
東京都内のフィリピンパブで働くフィリピン人女性(38)は約10年前、芸能活動などの名目で交付される「興行資格」で来日し、数年後に日本人男性と偽装結婚して日本人配偶者の資格を得た。さらに3年後には永住権を手に入れ、すぐに離婚したという。
「夫だった男性のことは何も知らない。時々、ベランダに男性用の下着を干したり、玄関先に紳士靴を置いたりして、入管当局による監視の目をすり抜けるのに苦労しました。もう時効だけど…」。この女性はあっさりと、こう認めた。
日本に出稼ぎに来るフィリピン人など東南アジアの女性は、かつて「ジャパゆきさん」と呼ばれ、昭和50年代後半に社会問題化。興行資格でパブで働き、資格外就労などで相次いで摘発されたが、平成17年の法務省令改正で興行資格の審査が厳しくなり、偽装結婚に移行したとみられる。
18年末~23年末の5年間でフィリピン人の興行資格の滞在者は1万4千人から4千人に激減。一方で永住者は6万人から9万9千人に急増した。日本人配偶者は結婚後最短3年で取得できる永住者になれば、離婚しても重罪を犯さない限り、国外退去とはならないことが背景にあるという。
24年に偽装結婚で摘発されたのは全国で約500人。だが、フィリピン人と日本人は24年、4290組が結婚する一方で、ほぼ同数の4216組が離婚しており、入管関係者は「相当数が偽装結婚と疑われる」と指摘する。
捜査当局は、結婚生活に実体がないことを立証しなければならず、電磁的公正証書原本不実記録罪の公訴時効(5年)との戦いも強いられている。
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