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国際
【新帝国時代】第3部 プロパガンダ戦争(3)「田中上奏文」の悪夢再び
「第二次大戦勝利で得た成果と戦後秩序を守らなければならない」。ロシアを訪問した中国の習近平国家主席は3月23日、いつもの表現で日本を非難した。昨年9月、パネッタ前米国防長官に「日本が反ファシズム戦争勝利の成果を否定、戦後秩序を覆そうとしている」と発言して以来、日本批判を繰り返している。
中国は日本政府による尖閣諸島国有化を「戦後秩序に対する著しい挑戦」と位置づけ、「戦勝国」米中露が手をくみ倒した「ファシスト」が再侵略に動き始めたと国際社会に訴えているのだ。ファシストとは一般に民主主義を否定する全体主義者を指すが、日本の指導者にそんな人物はいない。対日非難は事実を捏造(ねつぞう)したデマだが、中国はデマを承知で国際社会に発信している。
ジャーナリストの富坂聡氏は「これこそ中国が仕掛ける『宣伝戦』だ。日本にファシストが復活していようがいまいが関係ない。キーワードを連呼し国際世論をあおる。狙いは日米分断と日本孤立だ」と指摘する。
反日宣伝に利用
中国の「宣伝工作」は今に始まったわけではない。
昭和の初め、世界中を駆け巡った怪文書「田中上奏文」もそうだ。
昭和2年、当時の田中義一首相が昭和天皇へ極秘に行ったとされる上奏文には、世界征服の手始めとして満蒙進出と中国侵略の手順が記述され、日本を世界征服をたくらんでいる国として印象付けさせた。
矛盾や誤りが多い、この文書には、日本語の原典が存在せず、当初から日本では、偽書とみなされていた。しかし、中国は田中義一が死去した昭和4年ごろから巧みに「反日」宣伝に利用したのである。
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