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【芸能・社会】待ってました歌舞伎座こけら落とし 勘三郎さんの孫がサプライズ登場2013年4月3日 紙面から
「待ってました!」。五代目となる歌舞伎座(東京・銀座)のこけら落とし公演「四月大歌舞伎」が2日、初日を迎えた。先代の閉場から3年。再開場を待ちわびたファンら約2000人が朝早くから詰めかけ、坂田藤十郎(81)や中村勘九郎(31)らベテランから若手まで顔をそろえた熱演に盛んな声援を送った。歌舞伎の新しい時代が、幕を開けた。 歌舞伎界史上初の先月27日の“銀座お練り”に続く雨。新開場を前に亡くなった市川団十郎さんや中村勘三郎さんら名優5人の思いを代弁しているかのような空模様に、開場を告げる「一番太鼓」の力強い打音が響き渡った。 午前11時の開幕を飾ったのは慶事の折に上演されてきたご祝儀舞踊「壽祝歌舞伎華彩」(ことぶきいわうかぶきのいろどり)。長寿の象徴である鶴を演じる藤十郎が真新しいひのき舞台のセリから登場。年齢を感じさせないしなやかな舞いを披露すると、満席となった客席から「山城屋!」の掛け声が飛び交った。 続く演目「十八世中村勘三郎に捧ぐ『お祭り』」では、勘三郎さんの孫で勘九郎の長男・七緒八くん(2)がサプライズで登場。勘九郎と中村七之助(29)兄弟と一緒に花道を歩き、踊りや立ち回りをみせる父親の背中を落ち着いた様子で見つめた。 幕引きの際には客席に向かって丁寧に何度もおじぎ。会場からは惜しみない拍手と歓声が沸き起こった。七緒八くんは2日目以降も出演する予定という。 「お祭り」には勘三郎さんに縁の深い俳優が集結。勘三郎さんと幼なじみで本葬では弔辞も読み上げた坂東三津五郎(57)は「さぞ十八代目も喜んでいるでしょう」と思い入れたっぷりのセリフで、勘九郎と七緒八くんの親子共演を祝福した。 このほか4月公演にはファン投票などで断トツの人気を誇る「勧進帳」をはじめ、「熊谷陣屋」「弁天娘女男白浪」「将門」「森綱陣屋」と豪華な演目がズラリ。松本幸四郎(70)、中村吉右衛門(68)、尾上菊五郎(70)、坂東玉三郎(62)、片岡仁左衛門(69)らのベテラン俳優たちが、若手を従え当たり役を演じる。 こけら落とし公演は新作なども加えながら来年3月まで続く。4月公演は28日まで。 ◆当日売りにも長蛇の列初日の公演には森喜朗元首相、女優の藤村志保(74)や大竹しのぶ(55)、江角マキコ(46)、元サッカー日本代表の中田英寿氏ら著名人の姿も多数あった。 当日売りの幕見席にも100人を超す長い行列ができた。午前3時に一番乗りした静岡県御殿場市の会社員山本重昭さん(44)は「22歳のころから歌舞伎が好きになり、月に2〜3回は見る。三津五郎さんや仁左衛門さんのファンで、若手の中では市川海老蔵さんに期待してる」と話した。 茨城県から来た児矢野正子さん(62)は「いろいろ不幸がありましたから、皆さんの頑張りを見たい」とエール。埼玉県に住む渋沢達之さん(75)は「歌舞伎座は初めて。内部がどう変わったのか見たい」と興味津々だった。 新しい歌舞伎座で初鑑賞した観客からも称賛の声が相次いだ。ニューヨークから来た米国人男性(50)は「大変すばらしい。とてもカラフルで、オペラ座のようだった」と笑顔でコメント。 千葉県浦安市から来た50代の女性は「お祭り」に「泣かせられっぱなしだった。勘三郎さんがそこにいるかのように、三津五郎さんに乗り移ったように見えた。三津五郎さんと巳之助さんの親子共演も見たことないし、七緒八くんも初舞台。すばらしい演出で、これから新しい何かができていくのかな」と興奮冷めやらぬ様子だった。 先端技術を活用した座席や、幕見席からも花道を見やすくするなどの新しい要素を盛り込みつつも、全体では先代歌舞伎座の伝統を踏襲。以前と変わらぬ舞台にリラックスした様子の観客が目立った。 ◆記者の目 最上階からもセリ付近が見やすくなったゆったりと見やすくなった客席の改良点の一つは、最上階の幕見席(一幕だけを見る専用席)からも花道の七三と言われるセリ付近が、見えるようになったことだ。役者の出や引っ込みのポイントになる芝居が行われる場所が見えるか見えないかは、観劇の意味合いが大いに違ってくる。 幕見席は、役者の屋号を呼ぶ「大向こう」と言われる人たちの“指定席”でもあるから、「音羽屋!」「播磨屋!」などと間近で聞けるのも醍醐味(だいごみ)だ。 今月の幕見席は2000円(当日窓口のみの販売)。新開場という機会に、初めて歌舞伎に接するのも結構ではないか。行列に並んで切符を買うのも、楽しみと思えばいい。これまでは階段で上らなければいけなかった4階まで、エレベーターで行けるようになった。ほぼ完売の一般席も、あきらめてはいけない。松竹のサイトをこまめにチェックすれば、日によっては、思わぬ空席がゲット可能だ。 確かに勘三郎さん、団十郎さんは逝ってしまった。が、一心に芸に打ち込む役者たちの姿は、こけら落としというハレの場で、いずれ劣らぬ輝きを放っている。同じ時代に生きる日本人の「祝祭」として、見ないテはない。これまでもそうであったように、観客も役者を育てるのだから。 (本庄雅之) PR情報
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