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西野嘉之
慶応義塾大学大学院博士課程理工学研究科修了。07年に企業価値検索サービス『Ullet(ユーレット)』を開発。現在は新聞・雑誌などの各媒体で執筆活動を行うなど、多方面で活躍中。
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ユーレットとは?
上場企業約4000社の決算書(財務諸表)や関連ニュース、大株主などの情報を、ワンクリックで表示。各企業の財務データをビジュアル的に把握できる、無料のサービスだ。 |
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ストリンガーは何を残したのか?
ソニーのハワード・ストリンガーが退任するというニュースが出てからずっと考えていた。「彼は何を残したのか?」05年に会長兼CEOに就任し、さらに09年には社長にも就任した。日本企業としては、初めての外国人のトップ経営者だった。しかも、ソニーのトップである。多くの注目を集めた。
その結果はどうなったのだろう。ストリンガー氏になってから何が変わったのか?グローバル展開をより強化していくように見えた。しかし、音楽事業では、アップルに市場を奪われたままとなり、テレビ事業では、シャープ株式会社に同調して、大型液晶パネル及び液晶モジュールの製造・販売事業に関する合弁会社シャープディスプレイプロダクト株式会社(以下「SDP」)に7%出資したが、12年6月に保有する持分全てをSDPに売却した。
なんとか立て直そうと努力していた動きは見える。しかし、うまくはいかなかった。その結果なのだろうか、東洋経済オンラインの記事よると、ソニーの社員の一部は「東京キャリアデザイン室」に転籍になり、仕事を与えられずに、「スキルアップにつながる」仕事を自分でみつけなければならないというのだ。実際には早期退職を促されているという。ストリンガー氏に期待したような結果が出ていれば、彼らの仕事がなくなることはなかったのだろうか?
「リストラするのは本当に辛い。」と以前、コマツ会長の坂根氏が仰っていたことを思い出す。企業も、社員も儲かっているときは良い。しかし、儲からなくなったときが、本当の正念場である。最新号のメルマガではソニーの将来について分析している。
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