とはいえ、学生の私たちがこんなことを考えていては、「学生の考えることはお気楽でいいよね」とNBOの読者の皆様にお叱りをいただくかもしれない。もちろん、体育会系でお金を稼ぐ実務をすることはほとんどありません。まるっきり同じと言うことではなく、組織として求める素養、経験、振る舞いが同じ、ということです。
では、社会人の方からは体育会系部活出身者はどう見えるのだろう。Yさんにご紹介をお願いし、MとHで揃って実際に人事を見ている会社員の方にお会いして、お話を聞いてみることにしました。
体育会出身のやつらは「めんどくさくない」んだよね!!
今回私たちのためにお時間を割いていただいたのは、某大手企業の人事担当のDさんです。大学時代は軟式野球部に所属し、日々汗を流していたそうです。H君とは話が合って、ベースボールネタで盛り上がっています。早速、お聞きしてみましょう。
H:社会人の方から、体育会出身者はどのように見えるでしょうか?
Dさん:思い切り簡単に言ってしまえば「めんどくさくない」んです!
M:めんどくさくない? どういうことですか?
Dさん:例えば、社内で飲み会をすることになったとしましょう。MさんもHさんも、先輩に飲み会のセッティングを頼まれたら、すぐ人数を確認し、店に予約をいれるでしょ?
M・H:はい。もちろんです。
Dさん:これが体育会出身者以外だと、「え、どうしてそんなことを僕がやるんでしょうか」と、理由を尋ねてきたりして、まず「やらなくてすむかどうか」を聞いてくるんだよ。その点、体育会だった者は、先輩、監督さんの言葉は「やれ!と言われたらやる!」。これが身についているから、めんどくさくない。言い換えると、「理不尽に免疫がある」のかな。
H:理不尽に免疫ですか。自然に部活動で免疫がついていたのかな…
M:それって「会社は理不尽なところだ」ってことでしょうか。
Dさん:会社に限らず、世の中には理不尽なことも多いのです。人事の仕事をしていれば、誰だってそう思うはずです。
例えば、自分への「人事評価」には、納得できないことってたくさんあるんですよ。
M:大学の成績なら、勉強していないから自業自得と思えますが…。
Dさん:でも、人事評価はペーパーテストとは違う。運や相性が大きく作用する。突き詰めていけば、評価者の趣味嗜好偏見がどこかに絶対に入ります。それでも、当社のベテラン社員でさえ人事部に対して「100人が100人、誰が見ても納得できるような人事評価をしてほしい」、と、本気で言ってくる方がたくさんいます。
もちろん、その気持ちはわかります。自分の実力を客観的に見て、公正に評価して欲しい。当然です。そして、それは絶対に叶えられない願いなんです。
M:じゃあ、会社員の方はそれにどうやって耐えているんですか?
Dさん:例えば、高校野球のベンチに入れるのは20人までと決まっていますよね。
H:はい。