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事件
【海防】(下)国境の島、対馬 韓国から密航、密輸、窃盗団…「厳しい現状直視を」
対馬を南北に分ける境がある。日本から朝鮮半島に抜ける時間短縮のため、明治33年に海軍が開削した「万関(まんぜき)瀬戸」。浅茅(あそう)湾と三浦湾を結ぶ運河だ。日露戦争の日本海海戦に出撃する水雷艇隊が通過し、歴史的勝利に貢献した。
いまでは、この運河を不法入国者を乗せた密航船が通過することもあるという。第7管区海上保安本部(北九州)の対馬海上保安部によると、朝鮮半島から、大胆にも、特定海域のいびつな対馬の領海線をまたぎ、万関瀬戸を通り一気に日本を目指す。「密航は手口を変容させ、悪質、巧妙化している」。警備救難課の田添太志課長(39)は分析する。
水際阻止へ足りぬ人員…すでに“韓国人街”化も
貨物船のコンテナや隠し部屋に不法入国者を潜伏させ、大量に密航させるような手口は影を潜めた。斡旋(あっせん)ブローカーから依頼を受けた漁船や貨物船などの船員が少人数を船室に潜伏させるなど小口化しており、密航船の動きがつかみにくく、摘発が難しくなっているという。
「瀬渡し」という日韓双方の港を出港した船が、対馬海峡で密航者を引き渡す手口もある。闇夜や荒天に紛れ、無灯火で航行する密航船。田添課長は「広大な海から、すべての船をチェックしきれていないかもしれない」と話す。
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