9回2死からメジャー初登板、初セーブを挙げウィニングボールを手に引き上げるカブス・藤川=PNCパーク(撮影・リョウ薮下)【拡大】
詰まった打球が中堅へ上がった瞬間、藤川は思い切り拳を突き上げた。オールスター3度出場のマーティンに対し、外角へのカットボール、内角への143キロのツーシーム。わずか2球で日本人投手初のメジャー初登板セーブを挙げた。
「日本で投げなかった2球。それだけ違う野球をするということ。あんなセーブは初めて」
出番は突然訪れた。3点リードの九回に守護神マーマルが乱調で1点を返され、左腕ラッセルに交代。二死一、二塁となった場面で、2度目の肩を作っていた背番号11がコールされた。
昨シーズン終了後、米球界挑戦のために統一球より負担がかかるメジャー球で練習を始めた。11月に右肘痛を発症し「筋肉でカバーしなければ」と肉体改造に着手。キャンプ中は「趣味は筋トレ」と公言し、体重は過去最重量から4キロ以上増えて90キロ台になった。
「開幕日にご褒美(セーブ)をもらってね。ウイニングボールももらおうかと」。阪神の守護神時代には持ち帰ることはなかった記念球を手にすると、笑顔がはじけた。
(紙面から)