民主党が、今年夏の参院選で日本維新の会や、みんなの党との共闘を断念した。民主党側から維新に連携を打診して断られたもので、事実上“ひとりぼっち”に追いやられた格好。安倍晋三首相率いる自民党に勝利するシナリオは描けていない。しかも、「国民栄誉賞」という大ニュースと重なる日の発表に、「政治センスがない」との指摘もある。
民主党の細野豪志幹事長は１日の記者会見で、参院選について、「野党で調整の可能性を模索してきたが、今後は独自の公認候補者擁立に最大限努力する。維新とは協力しない」と述べ、維新との選挙協力を事実上断念する考えを示した。
細野氏は、維新が党綱領で「占領憲法の大幅改正」を掲げたことを挙げ、「安倍政権と極めて酷似している。憲法観が民主党とはまったく異なる」と述べた。
民主党内には「独自色を前面に出して戦った方が活路を見いだせる」（幹部）との声もあるが、維新とみんなが候補者の一本化を着々と進めるなか、蚊帳の外に置かれていたのが実情。海江田万里代表ら執行部は焦りを募らせていた。
ただ、自民党だけでなく第３極とも対決することになった民主党の参院選での見通しは極めて厳しい。野党が票を食い合えば、自民党に利するのは明白だからだ。
平野達男前復興相が離党し、参院選で無所属で岩手選挙区から出馬する方向になるなど、働くのは遠心力ばかりだ。唯一、生活の党の小沢一郎代表が古巣である民主党に連携を呼びかけているが、民主党内には「小沢氏と組めば、前原誠司元外相ら保守系の議員に、離党して維新や自民党と組む大義名分を与える」（ベテラン議員）との危機感がある。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏は「まさにジリ貧。国民栄誉賞で盛り上がっているときに対決姿勢を示しても誰も注目しない。政治日程を眺めてその時々の世の中の空気を読めない民主党らしい行動で、ガックリするだけだ」と話している。