塩はうまくてまずいです

あまり深く考えずに書き始めたので、なんか収拾がつかなくなってますけど
「仮名目録」のつづきを。

室町幕府の意向を無視して、勝手に 「ｍｙ法律」 を作ってしまう行為は
本来ならば幕府に対する反逆。世が世なら討伐の対象です。
しかし。それでも幕府は何も言えないのが悲しいトコロ。
「もう室町幕府なんて、あってないようなモノさ」

このような勝手な法律を東国で最初に作ったのが今川家。
かつては幕府に忠実な守護だったのに、今やそんな気持ちはサラサラありません。
ちなみに隣国の武田家も同じように勝手な法律 「甲州法度」 を作ってますけど、
その内容はほとんど 「仮名目録」 と 「仮名目録追加」 のパクリ。

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第１３条　仮名目録２条の修正
仮名目録２条を修正する。田畑・山野の境界線訴訟で敗訴した者は、
所領の３分の１を没収する決まりだったが、これではあまりに厳しいので、
問題となった土地の広さの２倍の土地を敗訴した者が支払う事とする。

第１４条　仮名目録４条の修正
仮名目録４条を修正する。
訴訟の途中で直接行動を起こした者は、自動的に敗訴とする決まりだったが、
この条文を悪用して審理をわざと遅らせようとする者がいるため、今後、
訴訟中に直接行動を起こした者には、その年の年貢を浅間神社の造営費として寄付させる。
その上で翌年から訴訟の再審理を行うものとする。

第１５条　差し押さえの手続き
訴訟物件凍結のために差し押さえの札を貼るときは、必ず奉行人に断った上で行うこと。

第１６条　盗品が不入地に入った場合
盗賊に会って物を盗まれ、その盗品が守護不入地に入ってしまったとしても、
必ず盗品は持ち主に返還すること。不入特権は認められない。

第１７条　他国からの手紙
他国から手紙が来ても、今川家の承諾なしに返信してはならない。

第１８条　寺の相続　
住職が寺を勝手に他人に譲渡することは禁止する。
そのような場合は、今川家がその寺を接収して新たな住職を任命する。

第１９条　訴訟を起こすことについて
訴訟を起こすことに遠慮する必要はない。むしろ忠節である。
諸事法度に従って訴え出た者には報奨を与える。

第２０条　不入特権の廃止
現在の今川領国における秩序維持を行っているのは足利将軍家ではない。
私（義元）の力量を以って国を統治しているのである。
よって過去において将軍家が設定した不入特権は成立しない。
今川家が守護時代に従っていた守護不入地における特権は全廃する。

第２１条　下人の子供の帰属
下人の子供は、親の主人をそのまま自分の主人とすべきだが、
父と母の主人が別人だった場合、幼少より養育してきた方の主人に帰属権がある。
両方の主人とも養育して来なかった場合は、両親が相談して決めよ。

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こう見ると、義元が最も重視したのは 「第２０条」 でしょうな。
足利幕府が 「守護」 といえども立ち入りを禁じた 「守護不入地」。
いわば幕府権威の象徴でもあった特権です。

氏親は仮名目録 「第２２条」 で、一応
「守護不入地については、これを改廃することはしない」
としていたのですが、
義元はこの 「守護不入地」 をあっさりと廃止。なかなか勇気が要ります。
追加 「第２０条」 によって義元は宣言したのでしょう。
「今川家はもはや幕府の守護ではない。私の実力で領国を治める戦国大名なのだ」

「戦国大名」 とは、こういうコトなのです。