三陸鉄道:南リアス線の一部が運行再開 2年ぶり
2013年04月03日
第三セクターの三陸鉄道(本社・岩手県宮古市)は3日、東日本大震災による津波などの影響で不通となっていた南リアス線=盛(さかり)−釜石間36.6キロ=のうち、岩手県大船渡市の盛−吉浜間(21.6キロ)で2年ぶりに運行を再開させた。
三陸鉄道は2011年3月11日の震災で一時全線で運行不能となっていたが、北リアス線が同16日に久慈ー陸中野田間(11.1キロ)で運転を再開。12年4月には駅舎と線路を流された島越駅を含む田野畑ー小本間を除き復旧した。しかし、南リアス線は線路が流されただけでなく、鉄橋が地震で損傷したり、3両の車両が津波の影響で使用不能となった影響で復旧が遅れていた。
三陸鉄道では、流失した線路を敷設し直すとともに、クウェートから寄付された原油の売却代金で3両の車両を建造し、13年3月15日からは運行再開に向けて試運転を続けていた。
盛駅では降りしきる雨の中、公募で選ばれた乗客や来賓らが午前9時40分過ぎの一番列車に乗り込み、吉浜へ向かった。三陸鉄道では、来春をめどに残る不通区間を復旧させ、全線路開通を目指す。
一番列車に生後8カ月の孫の湊太ちゃんと乗り込んだ佐藤和明さん(63)は「チリ地震と今回と2度も自宅を津波で流された。家族は無事だったが近くの陸前赤崎駅がなくなったのはショックだったので、工事が終わるのを心待ちにしていた。列車に乗ることができて感激している」と笑顔を見せた。
三陸鉄道の望月正彦社長は「地元の人には2年間お待たせした。新しい車両はバリアフリー化もされ使いやすくなっているので、気持ちよく乗っていただけると思う」と語って一番列車に乗り込んだ。【米田堅持】