今をさかのぼること9年前――2004年8月27日付けで本紙は、《四世への査証発給=聖総領事館、慎重に対応=旅行社ら「冷たい」と不満=入管法の改定訴える》という“四世問題”を報じた。
というのも、二世には「日本人の配偶者等」、三世には「定住者」という、それぞれ長期滞在用査証の取得権を持っている。だが、四世以降の日系人には日本長期滞在ための特別査証は用意されていないのだ。
おそらく、すでに四世世代が数千人以上も日本で生まれ、将来的には数万人になると予想される。たとえ彼らが日本で生まれ育って日本語しかしゃべれなくても、いったん伯国に戻ってきて日本の永住査証が切れたら、一般のブラジル人と同じ扱いになり、もう日本に戻るためのビザはとれなくなる。
四世子弟をさらに難しい状況に落とし入れているのは、両親の離婚率の高さだ。二世、三世と世代を経るごとに混血率が上がることは周知の事実で、離婚率も高い。
現在の在日日系社会では片親が三世で、配偶者が非日系というケースがかなり多い。日系の親に引き取られた子供は日本滞在を続けるのに問題はない。しかし、非日系の方の親に引きとられた子供は、日本で育ったにも関わらず、成人して扶養家族でなくなったら、その日から日本には居られなくなる。
日本育ちの田中アルベルトさん(21、仮名)の場合も、日本での生活を望んだにも関わらず、止むを得ない事情で伯国に戻った四世の一人だ。
三世の父と非日系の母の間に生まれた田中さんは、生後8カ月で家族と共に訪日した。ところが父は、物心つく前に母と別れて家を出て行き、音信不通となった。
このように事実上、日本で生まれ育ったに等しいにも関わらず、「四世」だからという理由で、見たこともない“祖国”へ帰らされる状況は、あまりに非人道的とはいえないだろうか。(2012年12月23日取材)
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