2平重盛役
窪田正孝インタビュー
平氏の嫡男として生まれ、いずれ棟梁(とうりょう)となる運命を生きる。あす死ぬかもしれない戦いの中で生き続ける――。そういう感覚は、頭で考えてもなかなか難しいですよね。でも、平氏一門の皆とドラマの世界の中に身を置くと、魔法にかけられたように自然に役に入れるんです。
重盛は、松山ケンイチさんいわく、「個性的ではないけれど、マニュアルどおり何でもこなせる優秀な人」。武勇も学識もあり、まじめで理想的な人物です。重盛が棟梁になっていれば、平氏は滅亡しなかったという人もいますが、同感です。時として暴走しがちな清盛を唯一、止められた人だと思いますから。
清盛はいつも本能で動くので、周りにいちいち説明はしない。だから、重盛には理解できないときもあったと思います。経子(つねこ)との婚礼の席で、「嫡男としての腹が据わらない」と、弱音を吐いてしまうのもわかります。史実では、父と後白河院の間に入り、その対立を抑えてきた重圧から、のちに胃潰瘍で亡くなってしまいます。その立場の苦しさを誰にも言えず、孤立してしまう……。頑張っているのに報われないという憤りを、表現していけたらと思います。
演技で難しいのは、あまり笑わないということ。実は、28話までで2回くらいしか笑っていないんです。重盛には、今清盛が何を考えているか、一門の皆が清盛に何を言いたいのか、常に気を張りながら、それをとりまとめる役割としての繊細さが求められている。そう思うので、役柄と同様、気を研ぎ澄ませながら、やわらかさも保ってこの役を演じていきたいです。
重盛は、父譲りの武勇と母譲りの繊細さを持ち合わせる若きリーダー。