武雄市図書館:改装オープン 指定管理者・TSUTAYA、批判や疑問続く /佐賀
毎日新聞 2013年04月02日 地方版
武雄市図書館が1日、改装オープンした。レンタル大手TSUTAYAを運営する「カルチュア・コンビニエンス・クラブ」(CCC)が指定管理者として、市と二人三脚で新しい図書館像を目指すが、市内外からの批判や疑問は続きそうだ。【渡部正隆】
■商業施設?
館内に入ると、蔦屋(つたや)書店の雑誌や本の売り場がある。右を向けばスターバックスコーヒー、左を向けば音楽と映像の有料レンタルコーナーである。これを見て、武雄市図書館・歴史資料館を学習する市民の会の井上一夫代表世話人は「市長は教育施設を商業施設に変えた」と非難した。
日本図書館協会によると、全国の公立図書館の9%が指定管理者制度を導入している。だが、経費節減が主眼の同制度は「公立図書館にはふさわしくない」としている。
一方、CCCは「民業の利益が見込めるので職員の解雇なしで図書館を継承できた。司書によるレファレンス(調査相談)機能も向上させるが、それも利益があればこそ」と反論。樋渡啓祐市長も「開館時間の4時間延長や年中無休はCCCだからできた。今回の指定管理は利益の出る点で従来の制度とは異なる」と語る。
■心は同じ
テープカットの後、CCCの増田宗昭CEOは「インターネットが普及し、人口構成も変わっている。図書館も変わらなければ」と語った。樋渡市長も「図書館法は規制が多すぎる。文部科学省には『地方に決めさせてくれ』と文句を言いたい。今後は市民の意見を大切にして、規制をぶっ壊す図書館を目指したい」とぶち上げた。
図書館問題で市長は「市民価値」を、CCCは「顧客価値」をよく強調する。「事業者でなく利用者の視点で計画立案する」意味のようだが、用語も内容もよく似ている。
■撤退か拡大か
「CCCは営利企業。利益が出なくなれば武雄から撤退する」と懸念の声がある一方で「武雄で成功を収めたら、そのビジネスモデルを全国の公立図書館に広げる作戦では」と勘ぐる声も聞く。
CCCの幹部社員は「5年間の指定管理はお約束ですから守る」と語る。樋渡市長も「次は5年以上の契約期間になるかも」と撤退説を真っ向否定した。