ランニングする阪神・能見=鳴尾浜球場(撮影・中川春佳)【拡大】
日の丸からタテジマに着替え、ホーム開幕戦のマウンドへ上がる。能見のシーズンがスタートする。世界を相手にした激闘から2週間。気持ちは完全に“セ界”へ向いていた。今季初登板へ臨む気持ちを問われると、冷静に言葉をつむいだ。
「どうなんですかね。特別なんですかね。この前もファームで投げましたし、不安は持たないようにしています。WBCでの収穫? いろいろあります。言わないですけど」。3連覇を目指した戦い、団結は、多くのものをもたらした。
台湾戦では先発を任されながらも押し出し四球などで、2回2/3で降板。準決勝・プエルトリコ戦では0-1の七回に手痛い2ランを被弾した。3月19日に帰国した際には「悔いがないと言ったらウソになる」と吐露したが、一方で「いろんな投手を見て、どういう取り組みをしているのか勉強になった」とコメント。超一流投手の中でシビアな戦いを経験したことで「僕が一番年上だった。力が足りないと思いましたし、レベルアップできるなと思いました」と新たな課題を見つけたようだ。
当初は開幕投手と目されたが、激闘の影響も考慮され回避された。3月26日のウエスタン・広島戦(由宇)で帰国後初の調整登板。様々な思いを胸に投げた。7回6安打3失点(自責2)。準備は整った。
チームが1勝2敗で帰阪したホーム開幕戦に、満を持して登板する。連敗ストップも託された。だが、中日打線は昨季4試合で2勝1敗、防御率1・04と得意にした相手。エースが後ろへ回っていた利点が出てきた。
この日は鳴尾浜でキャッチボール、短距離ダッシュなどで心地よい汗を流した。
「基本、(帰国後も)やっていることは変わらない。走ることとウエートです。走るのは多めに走っています」
侍を経てもう一度、エースが2013年を再起動する。(長友 孝輔)
(紙面から)