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【社説】

強硬 北朝鮮 危機の長期化に備えよ

 北朝鮮が国際社会との対決姿勢を強めている。核やミサイルの開発を続けると宣言し、韓国との関係を「戦時状況」とまで言い切った。暴走を止めるには周辺国の連携と監視がいっそう重要になる。

 北朝鮮の「言葉の戦争」はエスカレートする一方だ。ミサイルの攻撃目標として、米本土やグアム島、韓国の大統領府、さらには米軍基地がある沖縄県や神奈川県横須賀市の地名も挙げた。

 米韓当局は脅しにすぎないとみながらも、四月末まで合同軍事演習を行って、挑発を許さないよう圧力をかけている。

 米国の対応はこれまで以上に厳しい。B52戦略爆撃機、B2ステルス爆撃機が演習に参加して韓国上空を飛行したのは、万一の場合には報復攻撃もありうるという強い警告だった。発足間もない朴槿恵政権を安全保障の面で支えるという意味もあろう。

 北朝鮮の労働党中央委員会総会が三十一日開かれ、金正恩第一書記は米国の核の脅威に対抗するために「核兵器を質量共に強化していく」と述べ、人工衛星と主張する長距離弾道ミサイルの発射も続ける意向を明らかにした。

 若い指導者はまず軍の最高司令官としての権威を高めるのが先決と判断したのではないか。米韓に対する激しい非難も、実は国内の体制引き締めの一環だという見方もある。このままだと、朝鮮半島を覆う危機は長期化する。事態は深刻で、打開の道も見えない。

 この会議では、核開発と並行して経済発展を進めるという活動方針が採択された。だが、国連安保理の制裁を受け、外国からの新たな投資は望めない。兵器開発を優先する以上、国民の食料や日用品に回す十分な資金の調達は難しい。経済発展を掲げても、現実を無視した独善にすぎない。

 ただ韓国と共同開発した北朝鮮開城工業団地は正常に操業している。外貨を稼げる生産部門を維持するのは、北朝鮮指導部がまだ冷静さを保っている証拠だろう。

 外交を通じた沈静化は当面期待できそうもない。オバマ米政権は北朝鮮の強硬姿勢に変化がない限り、交渉には応じない考えだ。韓国も対話の窓は閉じないというが、防衛力強化を最重点にしている。北朝鮮の友好国・中国も、説得に動いている様子はみえない。

 今は何よりも、朝鮮半島での偶発的な衝突を防ぐことだ。周辺国が連携して情報交換をし、冷静に対応することが求められる。

 

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