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湧き水の硝酸性窒素濃度が上昇 熊本市・江津湖 2013年04月02日

湧き水の硝酸性窒素濃度が上昇 熊本市・江津湖の写真、図解
水量が豊富な江津湖の湧水群。しかし、硝酸性窒素の濃度はじわじわと上昇傾向を続けているという=熊本市健軍5丁目
湧き水の硝酸性窒素濃度が上昇 熊本市・江津湖の写真、図解
 熊本市の江津湖周辺の湧水群で、湧き水に含まれる硝酸性窒素の濃度が上昇傾向にあることが、東海大産業工学部の市川勉教授の調査で分かった。飲用基準に迫る値を記録したこともあった。市川教授は「今後もしばらくは上昇が続く。地下水のかん養量を増やして、濃度を下げる施策を急ぐ必要がある」と指摘している。

 硝酸性窒素は、肥料や家畜排せつ物などに含まれる窒素分が土壌中で変性してできる。地下水脈に浸透しやすく、国の飲用基準は1リットル当たり10ミリグラム以下。

 市川教授は2009年4月から12年12月まで、1カ月ごとに江津湖と周辺計6カ所の湧水から水を採取し、濃度を測定した。

 濃度は1リットル当たり1~7ミリグラムと幅があったが、統計学的な分析で3年間で、じわじわと上昇傾向にあることを確認した。夏は低く冬は高い傾向もあった。

 濃度上昇の最大の原因とされるのが地下水の減少。市川教授によると、現在の江津湖の湧水量は30~40年前の半分の1日45万トン。地下水が減ったことで、地中から溶け出る硝酸性窒素の濃度が高まっているという。

 硝酸性窒素は、熊本市が上水道用に取水している井戸でも上昇傾向。約110本の井戸のうち1本が06年、飲用基準を超えて取水を停止した。

 市川教授は「これまでに使われた肥料や家畜排せつ物、地下水の流れなどを考慮すると今後10~20年は濃度が高まる」と予測。「江津湖の湧水と同様、地下水も上昇傾向にあることが推測され、熊本にとって深刻な問題。かん養量を大幅に増やす取り組みを急ぐ必要がある」と指摘している。(池田祐介)

 硝酸性窒素 過剰の肥料や不適切に処理された家畜排せつ物の窒素分が地中で硝酸などと結合してできる。地下水脈に浸透しやすくなる。大量に摂取すると、体内で血液中のヘモグロビンと結合し、酸素欠乏を引き起こす恐れがある。



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