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【社会】

都庁舎 バブル普請 建設費の半額かけ大改修

2013年4月2日 07時01分

改修が始まっている都庁第一本庁舎=東京都新宿区で(伊藤遼撮影)

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 世界的な建築家・故丹下健三氏の設計で、「バブルの塔」と呼ばれた東京都の豪華庁舎が、都に「負の遺産」としてのしかかっている。完成から二十二年の現在、初めての大規模改修中。改修費は、二〇二〇年度までに七百六十二億円と、建設費のほぼ半分かかる。都は「相場だ」と説明するが、巨大庁舎を建てたつけが回ってきた形だ。 (松村裕子)

 高さ二百四十三メートルの第一本庁舎は大聖堂を思わせる双塔のデザインで、完成時は日本一の高さを誇った。正面玄関に当たる二階ホールには高価な御影石がふんだんに使われ、高さ十八メートルの吹き抜けから陽光が降り注ぐ。

 「外見は立派ですが、内部はボロボロなんですよ」と庁舎整備課の担当者。空調は、更新の目安となる運転時間六万時間を超えるものが約七割。設備関係の故障や補修が〇九、一〇年の二年間で約六千二百件もあった。

 今回の改修は、空調や給排水、照明などの設備更新が主な内容。都によると、新宿副都心のほかの超高層ビルも築二十年前後をめどに大規模改修をしている。「メーカーが交換部品を製造しなくなるので、いま改修しなければ故障が増えて修理代が高くつく」と担当者は説明する。

 都が〇九年に設備更新方針を立てた際、費用を約七百八十億円と見積もった。しかし東日本大震災を受け、高層ビル特有の長時間の揺れを抑えるため百五十五カ所に制振装置を付けることになって約四十億円膨らみ、予算は八百二十億円まで膨らんだ。

 そこで都は、費用抑制策を立案。事務スペース床下の電気配線を取り換えるためにすべて新調する予定だった床は、クリーニングして使い回す。二十年前に事務用紙の主流だったB判仕様の壁面収納ロッカーも、A判仕様に総取り換えする計画をやめて、そのまま使う。

 床もロッカーも量が膨大で、購入費だけで数十億円を節約できる。「クリーニング代はかかっても買うよりは安い」と担当者。しかし、オフィスビルの設備工事を手掛ける業者は「ロッカーをB判からA判に替える必要などもともとない。民間企業では考えにくい発想」と指摘する。

 改修費は節約後、七百六十二億円と、建設費千五百六十九億円のほぼ半額になった。都や改修担当の設計業者は「ビル新築費の四〜六割が設備費。設備を換えれば同程度かかる」と説明するが、複数の大手不動産会社は「改修の規模や内容によって費用は異なるので一概には言えない」と口をそろえる。

 「上から見下ろすような高層建築自体が間違っている」と指摘するのは五十嵐敬喜法政大教授(都市政策)。「業務が多すぎるから建物が巨大になる。市区町村に権限を移譲すればいいのでは。せめて庁舎前の広場をもっと自由に使えるようにするなど、改修を機に市民に開かれた都庁になるよう工夫すべきだ」と苦言を呈した。

<東京都庁舎> 48階建ての第一本庁舎、34階建ての第二本庁舎、7階建ての都議会議事堂からなる。鈴木俊一知事(当時)のもとで、千代田区丸の内から新宿区西新宿へ移転が計画され、1991年に完成。建設費は1569億円。設計した丹下健三氏(1913〜2005年)は旧赤坂プリンスホテルや代々木第一体育館、広島平和記念資料館などを手掛けた。

(東京新聞)

 

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