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【スポーツ】

安楽 完投、済美4強 米メディアの投げ過ぎ報道に反論

2013年4月2日 紙面から

完投で県岐阜商を破り、準決勝進出を決めた済美・安楽=甲子園球場で

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◇センバツ高校野球<第11日>

 済美(愛媛)が6−3で県岐阜商に逆転勝ち、優勝した2004年以来9年ぶりに準決勝進出を決めた。3回戦で打球を右手首に当てた安楽智大投手(2年)は5回までに3失点したが打線に助けられた。県岐阜商は、中日・高木守道監督らが準優勝した1959年以来54年ぶりのベスト4進出を逃した。高知は2−0で仙台育英(宮城)を振り切り、優勝した75年以来38年ぶりの準決勝に駒を進めた。史上最多の5校が出場した東北勢はすべて姿を消した。

 山あり谷ありの険しい道を乗り越えての4強入り。8回裏に試合をひっくり返して3点リードしたのに、9回は県岐阜商の粘りの攻撃に遭って、済美の安楽は苦投。だが甲子園のニューヒーローは並の投手ではない。2死二、三塁のピンチで、力を振り絞って投げた138球目が150キロ。この剛球で最後の打者を遊ゴロに仕留めた。

 「監督に信頼されているエースはどれだけ試合がもつれても、1人で投げ切るものです」。2年生になったばかりの右腕は疲れの色など見せず、堂々と言ってのけた。3月30日の済々黌戦で1回に打球が右手首に直撃した影響もあって球速をセーブして、スライダー中心のピッチングを展開。だが、勝利を目前にした9回に今大会ナンバーワンの剛腕にスイッチが入った。

 2死無走者から代打・伴野に投じた2球目が甲子園球場の球速掲示で「151キロ」を刻んだ瞬間、2万4000人の観衆から驚きの声が上がった。「あのお客さんの、どよめきが忘れられない。自分の味方についてくれてるような気になった」。スピードへのこだわりが強い安楽にとっては快感だった。

 安楽について、複数の米メディアが先月末、特集記事を掲載。そこでは広陵、済々黌との2試合で計391の球数を懸念材料だとし、米大リーグのスカウトが「向こう(日本)の連中は子どもたちを殺すも同然だから」とコメント。米放送局CBSスポーツ(電子版)も「まだ体が発育中なのに、正気のさたではない球数」と伝えた。この報道は安楽の耳にも届いていた。この日の投球数を加えると、3試合で計529球にはなったが、16歳の剛腕はこう反論した。

 「日本の高校野球はそういうものだ。つぶれるというけど、ボクは冬練習でしっかり投げ込みもしてきた。これくらいは投げ過ぎだというような球数ではない」

 今大会の開幕前に、大会本部で肘、肩検査が行われたが、安楽は肩関節の柔らかさでは出場校の投手の中で断トツだった。疲労回復の度合いもただ者ではない。初戦の翌日は「筋肉痛がヤバイ」とナインに漏らしていたが、その次の日には自己最速を更新する153キロ宣言までしていた。タフな2年生は四国勢対決となる高知戦でもマウンドを独り占めする。(阿知波浩二)

 

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