宇宙ごみ:空自レーダーで監視を検討…衝突なら衛星被害
毎日新聞 2013年04月02日 02時31分
防衛省は、地球周辺を飛び交う宇宙ごみ(スペースデブリ)から人工衛星を守るため、国内のミサイル防衛(MD)用レーダー「FPS5」を活用して監視を強化する検討に入った。近年、各国の宇宙利用の活発化で宇宙ごみが急増。ごく小さくても高速で衝突すれば衛星が破壊される恐れがあるため。日米両国は新たな日米防衛協力の指針にも、宇宙分野の柱として宇宙ごみ監視を盛り込む方針だ。
同省が転用を検討しているFPS5は、航空自衛隊の下甑(しもこしき)島分屯基地(鹿児島県薩摩川内市)など、国内4カ所にある固定式警戒管制レーダー。巨大な亀の甲羅のような外観から別名「ガメラレーダー」とも呼ばれる。数千キロ先の物体をキャッチでき、長距離弾道ミサイルの発射や日本周辺で活動する戦闘機の動向を監視している。同省は早ければ14年度から観測用ソフトの開発や膨大な宇宙ごみのデータベース化に着手。ミサイル防衛と並行して、人工衛星などが事前に回避できるよう、宇宙ごみの監視・軌道予測を行う。
宇宙ごみは近年の人工衛星打ち上げの増加などで急増。わずか1センチのごみが衝突しても衛星などに致命的な損傷となる。将来はわざと爆破させて破片をばらまき、他国の軍事衛星を妨害する「キラー衛星」の登場も予測されており、米欧などが監視強化を急いでいる。【青木純】