今回は、IT業界未経験でも加盟できるパソコンスクールを取り上げます。各パソコンスクールのフランチャイズは、それぞれ異なる集客方法、顧客化策で事業を拡大しています。自ら(自社)が取り組むとしたら、どの手法が手掛けやすいかを考えながら読み比べてみてください。
[事例1] パソコンスクール「ハロー!パソコン教室」
(フランチャイズ本部:株式会社イー・トラックスhttp://www.e-tracks.co.jp/ )
~大手ショッピングセンターに出店可能!充実研修で生徒数伸ばす~
ハロー!パソコン教室では、パソコンの基礎から、パソコンを使った水彩画、デジカメ画像処理などの趣味、実務、パソコン関連資格、WEB制作など、幅広い学習ニーズに対応し、1000以上の講座を取り揃えています。生徒それぞれが、仕切られたブース内で、DVD教材、テキスト教材で学ぶ、セルフラーニングシステム。必要に応じてインストラクターが指導します。生徒一人当たりの一カ月の収益は約2万5,000円(月会費2,000円、平均テキスト代3,000円、平均受講料2万円)。入会金は初回入会時のみ3,000円。20代~70代の生徒層のうち、中心は40代~50代。集客の要となっているのが、分かりやすさを第一に制作したオリジナルDVD教材、テキスト教材。例えば、DVD教材は、直営教室で、随時、教材のどの部分が分かりにくかったかなどを生徒にヒアリング、指摘された箇所を撮影し直し、加盟教室に、より分かりやすい教材を提供しています。社内に撮影スタジオや編集室があるため、スピーディーに教材の改訂作業が行えます。教材は生徒から高い評価を得ています。
一方、加盟者には、オープン前後3カ月の初期研修プログラムで、損益分岐点である「3ヶ月で生徒数80名」の達成に必要な指導を行っています。オープン前は、経営の基礎から、チラシの配布手法や入会者獲得法などの基本を教え、オープン後はオープンしてから加盟者が気付いた課題や、まだ学びきれていない点を中心に指導。特に、販促は、生徒数の伸びとチラシなどの配布状況を照らし合わせ、より効果的な販促計画を検討・提案します。また初期研修以外のオープン後の指導については、より迅速かつ的確に対応できるよう、SV(スーパーバイザー)は敢えて置かず、教材開発部、販促など部門別の担当者が加盟者の課題などに直接対応する形を取っています。本部紹介により大手ショッピングセンターに出店可能。加盟者交流の場も多数用意。
加盟店オーナーからひとことコメント!
「大勢の生徒が、他スクールと比べて『教材が分かりやすい』と入会」
■ハロー!パソコン教室イオン羽生校オーナー 藤原誠さん
「大半の生徒さんは、無料体験レッスンで触れた教材で入会を決めます。生徒さんの中には、以前大手パソコンスクールに通っていたけれど、「こっちの方が教材が分かりやすい」と、入会された方が大勢います。また本部のインストラクター研修では、他の加盟教室のインストラクターと交流できる点が良いです。参加者のやる気が向上しますから。」
フランチャイズ展開開始年 | 2001年 |
直営教室数 / 加盟教室数(2011年末) | 73教室/161教室 |
加盟者における個人加盟者、法人加盟者の比率 (※個人加盟者=脱サラなどから加盟したケース、個人事業主含む) |
個人70% 法人30% |
業界未経験者の加盟比率 | 30% |
標準開業資金(教室取得費別)/標準教室規模 | 約500万円/15坪 |
イー・トラックス 店舗開発部 シニアマネージャー
中野徳和氏
ハロー!パソコン教室教室
[事例2]パソコンスクール「メディアックパソコンスクール」
(フランチャイズ本部:株式会社メディアックhttp://www.mediac-company.com/index.html )
~「駅から徒歩5分以内、一階教室」立地で、オープン月から黒字!~
メディアックパソコンスクールは、お得感が大きな魅力。生徒は、月々3,150円の受講料だけで好きなだけ通えます。初回のみ、コース料金がかかります。具体的なコースは基礎コース31,500円、デジカメコース21,000円、ビジネスコース42,000円、パソコン検定習得コース(4級)73,500円など。平均的に生徒は1年間で2コースを学ぶため、生徒一人当たりの1年間の顧客単価は90,300円。それぞれの生徒が学びたいことを自分のペースで学ぶ個別指導形式で、不明点などはインストラクターが対応します。9歳から90歳までの生徒が通っていますが、中心層は40代~60代。オリジナルのテキスト教材には、これまでに、生徒から寄せられた質問の大半が、回答に盛り込まれています。全ての回答を盛り込まないのは、生徒が質問するきっかけを作るため。シニア層の多くにとって、インストラクターとの会話はスクール通いの目的の一つですから、会話の機会を多く作った方が生徒の定着率は向上するのです。また、基本的に、テキストに回答が掲載されていないことについてしか、質問されないため、未経験者でも指導しやすくなっています。
教室の立地条件は、駅から徒歩5分圏内の1階が基本。家賃は高めですが、人目につきやすいため、広告費は2階以上の空中教室の3割程度なので、結果的に安くつきます。入会希望者に安心感を与えるために、教室正面に大きなガラス窓を取り付け、外から教室内の様子を覗けるようにしています。お得感、利便性、安心感から、入会希望者は気軽に教室に入ってきて、入会に至るので、大半の教室がオープン月から黒字になります。開業前研修は加盟者が習得できるまで実施。平均的に2週間から一カ月かかります。内容は生徒への指導方法や新規生の獲得策など。開業後の教室訪問指導は必要に応じ随時実施。
加盟店オーナーからひとことコメント!
「外から教室内の様子が確認できるので、警戒心が強い男性やシニアも入ってくる」
■メディアックパソコンスクール相模原教室オーナー 佐々木 崇倫さん
「女性に比べ、習い事の経験が少ない男性や、パソコンに触れたことのないシニアの方は、パソコン教室に対しての警戒心が強い。こうした方でも、うちの教室なら外から中の様子が確認できるので、安心して入ってきます。本部のきめ細かい生徒指導ノウハウに従って教えているので、定着率もよく、開業から4年経ちますが生徒数は200名を超えています」
フランチャイズ展開開始年 | 2004年 |
直営教室数 / 加盟教室数(2012年2月23日現在) | 11教室/ 69教室 |
加盟者における個人加盟者、法人加盟者の比率 (※個人加盟者=脱サラなどから加盟したケース、個人事業主含む) |
個人90% 法人10% |
加盟者における業界未経験者の比率 | 50% |
標準開業資金(教室取得費、設備費、什器・備品等別)/標準教室規模 | 2,705,000円/約10坪(8坪から開業可能) |
メディアック 代表取締役 小林雄介氏
メディアックパソコンスクール教室
[事例3] 高齢者向けパソコンスクール「市民パソコン塾」
(フランチャイズ本部:中央出版株式会社http://www.chuoh.com/#top )
~自宅開業OK!教室主導ミニイベント開催でシニアの定着率アップ~
市民パソコン塾では、パソコンの基礎、絵手紙制作などの趣味系、ワード、エクセルなどのスキルアップ系、資格取得など目的に応じた豊富な講座を揃えています。各自の目的、レベル、スピードに合わせて学べる個別指導。不明点などはインストラクターが対応。特長的なのが、2画面学習方式。2画面学習方式とは、2台のディスプレイを並べ、1台で講師のお手本を映し、生徒はそれを見ながら自分のディスプレイで同じことを行っていくという学習方法。こちらのやり方の方が、テキスト教材やDVD教材を見て理解しながら学ぶ方法より分かりやすいと、シニアの生徒から好評です。10代から90代が教室を利用していますが、主要生徒層は50代後半~60代。週一回コース(月4回)5,250円(1講座当たりの受講料1,050円×4回+教室維持費1,050円(月額))、週3回コース(月12回)13,650円など。平均客単価は7,000円。入会金は初回のみ1,050円。テキスト代別途。
メインターゲットであるシニアの定着率アップの決め手はミニイベント。基本的に教室ごとに、バーベキューやカラオケ大会などを適宜開催します。多くのシニアが友達作りを目的に教室に通っているため、出会いの場としてイベントを開くようになりました。イベント開催を始める前と比べ、シニアの定着率は明らかに良くなり、経営も一層安定しました。オープン前研修は5日間。マネジメントや指導方法を学びます。オープン後のSV(スーパーバイザー)による訪問指導は必要に応じ随時実施予定。なお、英会話教室、漫画喫茶などの既存店に、市民パソコン塾を導入し、アイドルタイムなどにパソコン教室を開く併設型開業も可能。
※フランチャイズ展開を開始したばかりなので、現在加盟教室はありません。
フランチャイズ展開開始年 | 2012年 |
直営教室数 / 加盟教室数 (2012年2月21日現在) |
78教室/ 0店舗 |
加盟者における個人加盟者、法人加盟者の比率 (※個人加盟者=脱サラなどから加盟したケース、個人事業主含む) |
- |
業界未経験者の加盟 | - (未経験での加盟は可能) |
標準教室規模/標準開業資金(教室取得費別) | 10坪(PC4台。レンタル可能)/約90万円 |
中央出版 市民パソコン塾本部 小倉武志氏
市民パソコン塾教室