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藤浪 初黒星も「収穫」 やっぱり大物151キロ7K

セ・リーグ  阪神0―2ヤクルト (3月31日  甲子園)

<ヤ・神>初回、ミレッジを右邪飛に仕留める阪神・藤浪
<ヤ・神>初回、ミレッジを右邪飛に仕留める阪神・藤浪
Photo By スポニチ

 祈るように打球を目で追った。1点を追う6回2死一、二塁。阪神・藤浪は三塁ベンチ前でキャッチボールをしていると、マートンが大飛球を放った。しかし、わずかに左翼ポールから切れ、ファウル。苦笑するしかない。無援に泣いたルーキーは、その裏に雄平に甘く入ったフォークを右翼席に運ばれた。

 「緊張もなく気負いもなかった。しっかり言い訳せずに投げようと思った。自信になるまではいかないが、収穫の多い投球だった」。65年のドラフト制後、新人高卒投手として最速となる開幕3戦目の先発で6回3安打2失点。黒星デビューとなったが、大阪桐蔭で昨季、甲子園春夏連覇した18歳は7奪三振と実力の片りんは見せた。初回、先頭・田中浩への初球に150キロ。2球目で一塁への平凡なゴロを打たせた。ところが新井良がまさかの失策。1死二、三塁とされ、4番・畠山にこの日最速の151キロ直球を中前に運ばれた。

 いきなり味方に足を引っ張られて先制されたが、開き直った。「打者に当てるくらいのつもりで投げた」。5番・岩村を内角のカットボールでのけぞらせ、見逃しでプロ初三振を奪った。2回無死一、二塁では八木、田中浩、上田を3者連続空振り三振。5回は145キロで3番・ミレッジのバットもへし折った。

 24日、オリックスとのオープン戦(京セラドーム)は6回途中で6失点。父・晋さんから「大阪桐蔭の西谷浩一監督が“体に巻き付くように体幹を使って投げろ”と言っていたが、そういうのが足りない」と指摘された。そんな助言を思い浮かべ、この日も手投げにならないように意識した。

 1メートル97の長身はプロでも際立つ。山口投手コーチは「昔は1メートル90を超えると、フォームのバランスが崩れた」と長身選手の多くが筋力不足で体を操れなかった。だが、藤浪は高校入学時から1メートル96で、日本ハムに入団した1メートル93の大谷と違い、成長痛にも悩まされずに練習できた。

 「高校時代は寝たら3秒くらいで朝が来て、もう少し寝たいと思っていた。プロでは朝起きたら、さあ、練習に行くぞと思える」。目標は1年間、先発ローテーションを守ること。藤浪がプロ1勝をつかみとる日は、そう遠くない。

 ▼阪神・藤井彰(藤浪とバッテリーを組む)状態は悪くなかった。ただ、先頭打者を塁に出してしまった。きょうは直球が良かった。だから本人とも話し、直球を多めに投げた。初めてで、あれだけ投げられていた。捕手としてはナイスピッチングだったと思う。

 ▼阪神・中西1軍投手コーチ(藤浪について)初回、いきなり(新井良の)失策から始まった。普通なら3、4点取られてKO。1点でよく食い止めた。

 ▼ヤクルト・畠山(初回1死二、三塁で藤浪から中前に先制打)直球を打ったけど力があった。いい投手。全ての球種に制球力が出たらやっかいになる。

 ▼ヤクルト・岩村(7年ぶり古巣復帰で初スタメンも4打数無安打3三振。藤浪には2三振)18歳とは感じさせない投手だった。でもイメージはできた。次はね。

 ▼日本ハム・大谷 リーグが違うのでよく分からないけど、高卒で入ってくる人は少ないので、いい投球で良かったと思う。自分の先発については段階を追っていかないと。まずは一つずつやりたい。

 ≪高卒新人の最速先発≫新人の藤浪(神)が開幕3戦目で先発デビュー。ドラフト制以降では、05年涌井(西)まで4人が記録したチーム4試合目を抜く、高卒新人の最速先発になった。なお、それ以前のセ、パでは、52年大田垣(広)、54年梶本(阪急)、56年牧野(東映)が高卒新人ながら開幕投手を任されている。 試合結果

[ 2013年4月1日 06:00 ]

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