ここから本文です
[PR] 

【ゼロから分かる】武雄市(上)「TSUTAYA図書館」

qBiz 西日本新聞経済電子版 4月1日(月)10時51分配信

【ゼロから分かる】武雄市(上)「TSUTAYA図書館」

図書館(手前)、書店(右奥)、カフェ(左奥)が仕切りなく“同居”する武雄市図書館(撮影・古瀬哲裕)

 レンタルソフト店「TSUTAYA」の運営会社に市立図書館の運営を委託したり、インターネットの会員制交流サイト「フェイスブック」(FB)を活用して市の情報や特産品を売り出したりと、先駆的な取り組みが注目されている佐賀県武雄市。その戦略を紹介する。

 ◆   ◆
 
 Q 4月1日にリニューアルオープンする佐賀県の武雄市図書館はどう変わるのだろう。

 A 運営方式が市直営から民間委託に変わるんだ。全国でも指定管理者制度を導入している公立図書館は珍しくないけれど、武雄市はレンタルソフト店「TSUTAYA」の運営会社カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と5年間の委託契約を結び、話題になっている。

 Q どんなサービスを提供するのかな。

 A 開館時間を4時間延長して、午前9時から午後9時まで、年中無休にする。館内はCCCが運営する代官山蔦屋書店(東京都)のイメージで約7億5千万円(市が約4億5千万円、CCCが約3億円負担)を掛けて改装した。開架スペースを1・4倍に拡大、開架図書をほぼ2倍にあたる20万冊に増やす。自動貸出機を設置して貸出業務の省力化を図り、利用者の相談に応じるレファレンス業務を充実させる。雑誌などの販売コーナーやCD・DVDの有料レンタルコーナー、コーヒーチェーン「スターバックスコーヒー」を併設して、館内での飲食を解禁する。本の貸し出しも市民に限らず、国内居住者なら誰でもよくなるんだよ。

 Q 図書カードにポイントが付くCCCの「Tカード」を導入したことで議論を呼んでいるね。

 A 図書の貸し出しによるポイント付与と個人情報の取り扱いが焦点になった。図書カードはTカードか図書館専用カードのいずれかを選択できる。Tカード利用者が自動貸出機を使って図書を借りた場合、1日1回のみ3ポイントを付与する。ポイントは加盟店での買い物に利用できるため「いたずらに青少年の利欲を刺激してあおる懸念がある」(日本文芸家協会)「異質なサービスだ」(日本図書館協会)と疑問の声も上がっている。市は「窓口業務の省力化に協力していただいた意味でのポイントです」と説明しているよ。

 ポイント付与の際、システムに提供される情報に貸し出し履歴が含まれるのではないかとの心配もあった。市は個人情報の取り扱いについてCCCと協定を結び、個人情報は管理業務だけに使用して、貸し出し履歴は図書返却後に消去することを約束している。市個人情報保護審議会は個人情報保護条例上「問題ない」と判断した。

 Q 市民の期待度は?

 A 市が昨年夏に実施したアンケート(市内外から1120件)では、7割が「期待する」と回答した。その一方で、市が公募せずに指定管理者を決めたことや、併設する歴史資料館の一部が有料レンタルコーナーに変更されたことなどに疑問を持つ市民もいるよ。

 ◆   ◆

 武雄市の「TSUTAYA図書館」構想などを推進しているのは、樋渡啓祐(ひわたし・けいすけ)市長です。
 1969年、佐賀県武雄市生まれで、東京大卒業後、総務庁(現総務省)に入庁。総務省大臣官房秘書課課長補佐を最後に退職し、2006年の武雄市長選で初当選。現在2期目です。(qBiz編集チーム)

西日本新聞社

最終更新:4月1日(月)10時51分

qBiz 西日本新聞経済電子版

 

関連トピックス

主なニュースサイトで カルチュア・コンビニエンス・クラブ の記事を読む

PR
Yahoo!スマホマネージャー

注目の情報


PR