厚労省 厚生年金基金の改革案を決定4月1日 17時50分
厚生労働省は、企業年金の1つで、運営が厳しくなっている厚生年金基金について、公的年金への影響を避けるため、資産が一定の基準を下回る基金に対し、厚生労働大臣が解散を命じることができるなどとした新たな改革案をまとめ、今の国会に必要な法案を提出することになりました。
主に中小企業の従業員が加入する厚生年金基金は、企業が独自に年金額を上乗せする企業年金の一つで、公的年金の一部も国に代わって運用しているのが特徴です。
AIJ投資顧問の事件をきっかけに、経済情勢の悪化で厳しい運営を強いられていることが明らかになり、厚生労働省によりますと、およそ4割の基金が、公的年金の支給に必要な積立金まで不足する、いわゆる「代行割れ」に陥っています。
厚生労働省は、公的年金への影響を避けるため、当初、制度自体を10年かけて廃止する方針を示しましたが、自民党などから「健全な基金まで廃止すべきではない」といった指摘が出たことを受けて、制度自体を廃止することは見直し、1日に新たな改革案を審議会に提示しました。
それによりますと、まず「代行割れ」の基金に対し、5年以内に自主的に解散するよう促すとしています。
そのために、基金が解散する際、国に代わって公的年金の資金を運用している「代行」部分を国へ返済する期間を、現在の15年から20年に延長したり、基金に加入する企業が倒産した場合、同じ基金の別の企業が、倒産企業の「代行」部分の返済分を肩代わりする仕組みを廃止したりする措置などを、5年に限って設けるとしています。
なお、基金側が解散を申請した時点で、企業年金部分は支給が停止され、公的年金だけが支給されることになります。
一方、「代行割れ」になっていない基金に対しては、ほかの企業年金への移行などを促すとしています。
そして5年後からは、公的年金の支給に必要な資金の1.5倍以上の資産を持つなどの条件を満たした健全な基金の存続は認めますが、「代行割れ」を未然に防ぐため、それ以外の基金に対しては、厚生労働大臣が、第三者委員会の意見を聞いたうえで、解散命令を出すことができるとしています。
厚生労働省によりますと、現在、この基準を満たしている基金は、全体のおよそ1割に当たる50余りだということです。
厚生労働省は、改革案について、与党の了承を得たうえで、今の国会に必要な法案を提出することにしています。
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