東日本旅客鉄道(JR東日本)が最先端の環境技術の導入を急いでいる。鉄道はもともと環境負荷が少ない交通手段として知られるが、近年はライバルの自動車などのエネルギー効率化も加速。人口減少に直面する鉄道事業者にとって、成長路線を維持するには将来を見据えた技術革新が不可欠な時代に突入した。環境技術でも国内鉄道事業者の「雄」へ――。新たな鉄道の可能性を切り開こうと、JR東日本の挑戦が本格化している。
2020年度に鉄道事業のエネルギー使用量8%削減(10年度比)、自営電力の二酸化炭素(CO2)排出係数30%改善(1990年度比)。昨秋にJR東日本が発表した「グループ経営構想V」では安全対策や鉄道ネットワークの拡充、地域との連携などと並び、「エネルギー・環境戦略の構築」を大きな目標に掲げた。社内に設置した「技術革新戦略委員会」が中心となり、果敢な目標設定と課題・方針の明確化、研究開発投資を重点化して技術革新を強力に推進すると明記。「従来の発想にとらわれない新たな鉄道システムづくりにまい進する」。冨田哲郎社長は力を込める。
確かに、JR東日本の戦略で特徴的なのは鉄道業界の前例にとらわれず、初の試みに果敢に挑む姿勢だろう。栃木県の烏山線に14年春ごろに登場する新型車両が代表的だ。国内で初めて非電化区間を充電した電力で走る「蓄電池駆動電車」の営業運転に乗り出す。現行のディーゼル車に比べCO2の排出量を約6割削減できるという。
この蓄電池電車、まずは2両1編成を走らせる。電化区間の宇都宮駅―宝積寺駅では普通の電車と同様、架線から電気を取り入れて走行しながら、蓄電池にも充電。非電化区間の宝積寺駅―烏山駅間は蓄電池の電力を使って走る。烏山駅には充電設備を設置し、折り返し運転する流れだ。最高時速は100キロメートル。将来は烏山線の車両をすべて蓄電池搭載電車に切りかえる構想だ。
近年は国内各地で設置が花盛りのメガソーラー(大規模太陽光発電所)だが、JR東日本の場合、ひと味違う。売電収入を見込む他社と異なり、発生させた電力を自前で活用する計画なのだ。太陽光発電を電車の運行に利用するのは、国内の鉄道事業者では過去に例がないという。
JR東日本にとって初めてのメガソーラーは千葉市内にある「京葉車両センター」構内の未利用地、約6600平方メートルを活用する。13年度中の稼働を目指す。ここで発電した電力は、同社の配電線を介して鉄道の運行に活用するほか、京葉車両センター内で消費する仕組みだ。電力量は1日平均約2700キロワット時。山手線の1編成が約4周、走行する際に使う電力量に相当するとしている。
JR東日本は国内の鉄道事業者では唯一、川崎市や新潟県に自営の発電所を保有。現状では電力使用量の5割以上を自営で賄っている。大量の電気を消費する鉄道事業者にとって、省エネは社会的に強まる節電への要請に応え、コスト減にもつながる重要な課題だ。メガソーラーで発生させる電力はまだわずかながら、いち早く導入することで、技術の蓄積などにつなげる考えだ。
東日本旅客鉄道、太陽光発電
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