無題
予算委員会質問を、安倍総理が「クイズ」と指摘したことの不当性について3月29日の参院予算委員会における私の質疑について「クイズのような質問」と安倍総理が答弁の中で指摘したことの不当性については、このブログやツイッターhttps://twitter.com/konishihiroyuki において具体的に述べさせて頂いておりますが、私が行った質疑の全体を敢えて矮小化し安倍総理を不当に擁護する一部報道がなされていることなども踏まえ、補足で以下の事実及び説明を申し上げます。
○ 3月29日の私の質疑に先だって、安倍総理は現行憲法13条の内容と自民党憲法草案13条の内容について、2月26日の同じ予算委員会で民主党藤末委員の質疑に対し、答弁しています。
○ 私の質問は、この藤末議員の質疑を分析し、それを掘り下げて行ったものです。従って、安倍総理においては、筋論から言えば、藤末議員の質疑対応の際に憲法13条について当然に十分理解し答弁しているはずであり、同じ予算委員会において重ねて憲法13条を問うた私の質問を「クイズ」と批判することは甚だ不当であると考えます。(でなければ、藤末議員への答弁は何だったのか、現行13条を読みもせずに理解もせずに答弁したのか、ということになる)
○ 私は、この藤末議員の質疑に対する安倍総理の答弁を現場で聞いて、現行憲法13条の「公共の福祉」という文言を自民党草案において「公益及び公の秩序」と改正することの安倍総理の説明内容の驚くべく空虚さを知り、「安倍総理は、そもそも憲法13条が憲法全体で究極に重要な条文であり、それをこのように改正することの意味を何も理解していないのではないか」と考えました。
○ 従って、私の質疑で、「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」を改正することの問題点に入る前に、まずは、安倍総理における現行13条の大前提の理解を確認するため、憲法の至高の価値である「個人の尊厳の尊重」とそのための包括的な人権規定である「幸福追求権」が定められ、これらのために安倍総理が率いる内閣が存在すると規定されている(故に、憲法で究極に重要な条文である)ものは「何条ですか?」という確認をすることにした次第です。
○ なお、安倍総理の「(「公共の福祉」をめぐる戦後の憲法解釈の長年の議論をわきまえるべきとの指摘に対して)長年の議論等々というのは私も意味がよく分からないんですが、我々は、憲法についてはもう一度更にして、まあ言わば清らかな水のように、最初から、何が大切か、あらかじめ頭にインプットされたものではなくて、何が我が国のために大切か、日本の伝統と文化の中に根差したものについても思いをはせながら自由民主党の草案を考えた」という答弁からは、私の質疑で明らかになった、戦後の憲法学を築き最高裁の判例や立法、行政の全てに影響を与えた「芦部信喜先生」や同じく憲法学の泰斗である「高橋和之 先生」、「佐藤幸治 先生」のお名前すら安倍総理は知らなかった理由がよく分かります。
※ 当選後に憲法を全く勉強していない国会議員が憲法改正を主張し、ましてや、党の総裁として主導するなど論外です。なお、私は、国会議員になっても必要な最新の憲法の教科書を買い求め立法業務などに際し、折に触れて参照しています。
(この度立案した「いじめ対策推進基本法案」 http://konishi-hiroyuki.jp/ijime/ や、「条例による法律の上書き」制度を検討した「東日本大震災復興特区法」の立案の際など)
○ また、安倍総理の「そういう長年の議論を経て、自由民主党は結党の際に憲法改正ということを掲げておりました。それから延々と五十年以上ずっと議論をしているわけでありますから、突然出てきたものでは全くない」という答弁などからは、憲法改正を主導する安倍総理を始めとして、自民党がこれまでに積み重ねてきた憲法改正の党内議論が果てしなく空虚なものであったことを理解できます。
―――参院予算委員会 平成25年02月26日 (議事録抜粋)―――
※議事録検索より(下線部分は小西記入)。
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_logout.cgi?SESSION=27971
○藤末健三君 これ、総理としてじゃなくて自民党総裁としてお聞きすることになりますけれど、自民党憲法改正案では十三条、十八条、ここを改正することになっていますが、その意味は何でございましょうか。十三条と十八条です。資料の三ですね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 自民党が取りまとめた日本国憲法改正草案において十三条及び十八条について改正案を示しておりますが、それは、その条文をより分かりやすくするため文言を改めたものであります。
○藤末健三君 より分かりやすくするために文言を改めたとございますが、例えば十三条では「公益及び公の秩序に反しない限り、」とわざわざ書き換えておられますけど、この公の秩序というのはどういう意味ですか。これ、中には、これが徴兵制度につながるんではないかと、わざわざ書き換えているということを言う人もいますので、お願いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、純粋に、公の秩序に反しないというのは当然のことであろうと、それを書き入れたわけでありまして、それと、先ほど申し上げましたように、徴兵というのは今の世界の趨勢において多くの国はそういう制度を取っておりません。むしろ、現代においてはそれは必ずしもうまく機能するとは限らないわけでありますし、私は全くそれは必要がないと、このように考えております。
○藤末健三君 また、自民党の憲法の案の前文の第三パラグラフの方に「日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り、」とございます。そして、十三条の改正ということで、非常にその徴兵制度は心配じゃないかという方がおられますけれども、その点いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは杞憂だろうと思います。
○藤末健三君 私が申し上げたいのは、例えば先ほどの十三条の改正、公共の福祉という話をわざわざ書き換えておられるじゃないですか。その十三条についても、長年の議論があるわけじゃないですか、総理。そして、解釈されているものをわざわざ書き換えている。それは九条についても同じだと思います。
ですから、その長年の議論があるものをきちんとわきまえた上で次のことを考えなきゃいけないと思いますが、いかがですか、総理。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 長年の議論等々というのは私も意味がよく分からないんですが、我々は、憲法についてはもう一度更にして、まあ言わば清らかな水のように、最初から、何が大切か、あらかじめ頭にインプットされたものではなくて、何が我が国のために大切か、日本の伝統と文化の中に根差したものについても思いをはせながら自由民主党の草案を考えたわけであります。
○藤末健三君 それは聞き方によっては、今までの議論は全然考えずに、もう更から全部考えようというふうに聞こえますが、それでよろしいんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 自由民主党は相当の議論を行っているんですね。憲法改正の議論を全く行っていない党もあるかもしれませんが、我が党は違います。相当の議論、真摯な議論を行いました。議論をするというのは、党においては時には相当の意見の対立もありますが、そういう中において取りまとめられたものが今度の自由民主党の憲法改正草案であります。
その前に第一回目の改正草案もありました。そして、そういう長年の議論を経て、自由民主党は結党の際に憲法改正ということを掲げておりました。それから延々と五十年以上ずっと議論をしているわけでありますから、突然出てきたものでは全くないということは御理解をいただきたいと思います。
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○ 最後に、「総理を指差した」など、私の質疑中の態度が礼節を欠くなどのご批判を頂きました。
○ 国会の委員会は国民の皆さまのかけがえのない尊厳や自由・権利などを守るための場です。
そのためにはまず、安倍総理がどれほど空疎なのかを国民の皆さまとともに確認するために、誤魔化しや言い逃れの答弁を許さない気迫を持って総理に「何条ですか?」と問い続ける必要がありました。
また、国民の皆さまの自由・権利等をいとも簡単に傷付けることが可能となる憲法草案を、無邪気にしかし恐るべき故意を持って提言している自民党総裁たる安倍総理やこれを支える政治集団(自民党)に対し、国会議員としての使命を果たすべく真剣勝負を挑む決意を相手に示す必要もありました。
しかし、頂いたご批判を謙虚に受け止め、反省すべきところを今後のために改善をさせて頂きます。また、不快な思いを抱かせてしまった方々にお詫び申し上げます。ご指摘やご批判を有り難うございました。
■お断り(頂いた書き込みの公開ルールの変更につきまして)
これまで皆さまから頂いたご意見の中には、①残念ながら刑法等に触れるような書き込みも散見されるとともに、②「小西ブログの炎上」という、日本社会におけるこの度の問題の重要性の本質の理解を損なう表現が生まれ、かつ、それが一部メディアでも扱われていることから、今回より頂いた書き込みの公開ルールを変更させて頂きます。(実はもともと、うっかり、数回前から公開にしていたものでした。。。 この意味でも何卒ご理解をお願いします。)
ただし、頂いた書き込みは可能な限り目を通させて頂きます。特に、真摯なご意見はとても参考にさせて頂いております。また、幾つかのものは公開させて頂き、他の方を含めた健全な議論のご参考とさせて頂きたいと考えております。(ただ、幾つもの立法事務を抱え毎日秒刻みで働いておりまして、十分な対応ができない時は申し訳ございません)
何卒宜しくお願いいたします。
―――――以下、ご参考――――
※ これまでにご説明したとおり、以下の点でも安倍総理の「クイズ」発言は不当であると考えます。
( なお、国会の予算委員会は国政に関する全ての事項の質問が可能です。総理への憲法に対する質疑は、憲法自体が国政の最重要事項であるとともに、憲法に関する内閣の見解はその予算編成や執行の前提であるため当然に質問できます。)
(1)手続きに則った質問通告を行った上で(従って、質疑中の予算委員長の発言は間違いです)、当日は憲法の条文や自民党草案の解説資料等を配布し、それは安倍総理の手元にあったこと。仮に、「個人の尊厳」や「幸福追求権」の内容は知っていたが条文番号を失念していたとしても(しかし、憲法9条の条文番号を忘れるようなことのはずですが)、瞬時に手元の資料で確認できたはずのこと。
( なお、私は、官僚時代に何百本の閣僚等の国会答弁を書いています。どういう質問がいわゆる「クイズ質問」となってしまうのかはよく理解しておりますし、そんな質問は国民の皆さまのための国権の最高機関の場で断じて行いません。)
(2)「憲法の存在理由」と安倍総理が率いる「内閣の存在目的」そのものを規定している憲法で究極に重要な条文である第13条の存在やその内容を現職の総理が知らないというのは許されないこと(故に、国会質問で確認できるのは当たり前である)。
(3)安倍総理は自民党の憲法改正論議を主導し、先に参院本会議でも我々国会議員に勇ましく憲法改正の使命を果たせと言っているのだから、その自民党草案において最大の影響力がある改正箇所と考えられる現行13条の内容は当然に十分過ぎるほど理解していて当たり前であること(これが答弁できないのは議会に対する侮辱ですらある)。
(4)安倍総理は、私が当該条文は13条であると示した上で、改めて、「現行憲法13条の内容を自分の言葉で説明して下さい」と問うても答弁ができなかったこと。つまりは、もともと、安倍総理は現行憲法13条の内容を何も理解していなかったのであり、「クイズ」発言は一国の総理としてあるまじき言い逃れ文句であったこと。
以上 |