ラジオ:デジタル化は個別に推進 民放連、統一行動を断念
毎日新聞 2013年03月12日 02時30分
ラジオのデジタル化を検討している日本民間放送連盟(民放連)は11日までに、民放全体での取り組みを断念する方針を固めた。設備投資に多額の資金が必要となることなどから、AM局を中心に反対の声が強く、民放連内の意見がまとまらなかった。今後は個別の放送局が、デジタル化を進めていくことになる。14日の民放連ラジオ委員会を経て21日の理事会で方針を決定し、総務省に文書を提出する。
ラジオのデジタル化は、テレビのデジタル化に伴って空いた「V−Low(ブイロー)」と呼ばれる、90〜108メガヘルツの周波数帯を利用。現行アナログ放送は都市部を中心にビル陰や室内の難聴取が指摘されているが、デジタル化でノイズが減り、文字や画像配信など多様なサービスが可能になる。NHKと民放が実現に向け議論していた。
しかし、デジタル化には、業界全体で施設整備に約1200億円が必要とされ、聴取者の多くが新たな受信機の購入を求められる。ラジオ離れが深刻な状況での多額投資に不安を抱く放送局が多く、地方局にはAMの継続で十分対応できるとの声も上がっていた。また在京AM局からは、V−Low帯域を利用せず、アナログのままFM放送に転換して難聴取解消対策を進める案が浮上。民放連としての統一対応は決めず、個々の放送局に委ねることになった。【小松やしほ、土屋渓】