6月19日の事について


6月19日は、以前より学校のプール開きのために、プール掃除をすることになっていた。

私は学校運営のためにも奉仕活動の一環として参加することに意義を感じていた。
しかし、3年生の中体連の本選が近いため、

3年生全員と3年生と練習の補佐をする2年生生徒数名を残して練習を講堂で行った。
残りの2年生は、1年生の指導係として、1年生と共にプール掃除をした。

部活終了時 18:00
練習を終えて、外集合を行うことにした。
1・2・3年生共に活動場所が違ったため、連絡や話をしたかったからである。
このときに、××君を呼んで少しだけ休んだ事への指導をしよう思った。

講堂に戻ってきた××君を旧職員玄関の辺りに呼んだ。2人でしゃがんで話した。
大屋「この前の下校の時に話したことを覚えている?××君はあの時 、風邪で休んだと言った。でも1年生たちはデートと言っていたんだ。先生も実際みたわけじゃないし、連絡をもらったわけではないから、どっちが本当なのかわからないんだ。××君は本当に風邪で休んだんだね?」

××君「風邪で休みました」

大屋「うん、××君が言うから風邪で休んだと先生は信じるよ。それにしても、なんでデートなんてみんな言うのかな?ひどいよな?」

××君「わかりません」

大屋「うん、実際に見たわけでもないのに、デートという人たちは良くない。××君がかわいそうだ。
でもね、なんでこんなことを言われるのかを考えたい。××君は、周りを考えていくのが苦手だ。だから、からかわれることもある。うそをついたりすることもあるのかなぁ?
そんなことが多いと、まわりの人は××君を勘違いしてしまう。先生は他の1年生に実際見たわけでもないのに、変なことを言うなっていったんだ。
でも、××君も言われないようにもう一度行動を見直さなきゃいけない。3年かけて良くなっていこう。
自分が変わればまわりが変わるから。」

××君「はい」

大屋「欠席するときは、先生に電話で連絡をしなさい。疑われたりしないように行動に気を付けよう。」

この後、××君には下校準備をさせに講堂に行かせた。私は休憩室に行った。
休憩室に行くと、2年生の●●という生徒が、血相を変えて、休憩室の窓から顔を覗かせた。

職員玄関で「どうしたんだ?」と聞くと、●●君は「○○先生から『男バスはプール掃除に来なくていい』といわれてしまいました」と言った。
「わかった。ちょっとみんなに聞いてみよう。」と言い、外集合の場所まで行った。

××君を除く 、部員か集合していた。

(××君は私と話していたため、下校準備が遅れて、このときはいなかった)

私は「なんでプール掃除に来なくていいと言われたの?」と聞くと、3年の部長が「××君が掃除をやっていなかったようです」と答えた。
「他にしっかりやっていない人はいないか?」と聞いた。
「××君だけじゃないかもしれない。どうなんだ?」と聞いた。
プール掃除に参加していた生徒が「あとはみんなやっていました」と言った。
私は「わかった。みんなはもう帰りなさい」と言い、下校させた。
下校時間の18:05過ぎ、××君が遅れて生徒玄関から出てきた。

私は××君にプール掃除について聞こうと思っていた。
大屋「××君、プール掃除をしていなかっのは本当?」
××君「いえ、しっかりやりました。」

大屋「さっきの事もあるし、どうやって××君の言うことを信じたらいいの?○○先生に聞いてみよう」
すぐ近くにいた○○先生のところに2人で行く。
大屋「○○先生、男子バスはプール掃除に来なくていいと聞きました。部長が××君がプール掃除をやっていなかったと言っていましたが、本当でしょうか?」

○○先生「そうですよ、やっていませんよ、女の子と水かけあって遊んでいましたよ。」
大屋「××君、○○先生はこうやって言ってるけれど、どうなのやらなかったの?」
××君「やりました。」
××君はなぜ信じてくれないのか?なぜ疑われるのか?という表情をしていた。
大屋「○○先生。やったと言っていますが」
○○先生「やっていませんよ。みんな見ていますから。」
大屋「みんな見ているって、○○先生が言っている。本当にやったの?」
××君「はい、やりました。」
ここで私は、他の者が見ているにもかかわらず、なぜ信じてくれない?なぜ疑われるのか?という表情をして、

掃除をやっていたと言い張る××君に厳しい指導の必要性を感じた。

大屋「やっていないんだろ?みんな見ているって言っているぞ。なんで信じてくれない?疑われているふうに被害者ぶっているんだ?」

私は、「どうなっているんだ?」
などと言いながら体罰はしてはいけないという気持ちもあり、ファイルを脇に抱えポケットに両手を突っ込みながら、××君に歩み寄っていった。
十数センチくらいの所まで歩み寄った時、私の体が××君にあたった。
××君は後ずさるような感じで、しりもちをついた。
××君はまだ先ほどと同様に「なぜ?」という顔をしていた。
数秒後、××君は立ち上がった。
これ以上、××君に対して何もすることができなかったため、私は××君に背を向けて××君から離れると、持っていた紙ばさみを地面に思いきり叩きつけた。
紙ばさみにはさんでいた紙が散らばった。

私は××君がうそをつくことに対して納得がいなかいことを示したかったので、散らばった紙を「拾え」と言い、拾わせた。
××君は紙を拾って私に渡した。それでも表情は変わらなかった。

私は××君が認めないので、
大屋「部活をやめるな?(やめることを促すような言い方)」と言った。
××君「やめたくないです。」と言って泣き出した。

私は××君の表情が変わり安心した。
××君はバスケットボールがやりたいのだと思った。
大屋「それでも、こんなことばかりが続くとさっき向こうで(職員玄関の辺り)話したように、××君の言うことの何が本当かわからなくなる。みんな××君に対して勝手に××君をきめつけるようなことになる。辞めるしかないよ」と言った。
まだ始めたばかりの1年生に「辞めなさい」というのはしのびなかった。
けれども認めさせるにはこれしかなかった。
××君「辞めたくないです」

大屋「だったら正直にならないといけない。掃除をやっていなかったんでしょ?」
××君「はい。やっていませんでした。」
ここからは××君に対して可哀そうになってしまった。
ここまで嘘をつき通してしまう原因となる背景がこの子にはあるのか?と考えたりもした。

大屋「やっていないなら、やっていないと言えばいい。嘘ついたってみんなが離れていってしまう。無断欠席もあるし、掃除をしていないこともみんな知っている。信頼がなくなっているよ。もう一度プール掃除をやらせてもらおう。先生と一緒に○○先生にお願いしよう。」
二人で○○先生の前に行き、
大屋「先生、明日も男バスにプール掃除をやらせてください。××君もお願いしなさい。」
××君「明日もやらせてください」

○○先生「わかりました。明日チャンスをあげるから、しっかりやりなさい。」
大屋「××君、明日もがんばろう。明日一生懸命やって、信頼を勝ち取ろう。××君は大会のとき一生懸命声を出していた。先生は喜んでいたよ。××君は一生懸命な行動で、人の心を動かせるんだ。だから、明日も一生懸命やればみんな認めてくれるさ」
××君「はい。がんばります」
××君はここで、自転車に乗って下校した。

6月20日 部活下校時
私は××君を信じていたので、プール掃除にはあえて顔を出さなかった。
○○先生にも確認したが「今日はよくやっていた」と確認できた。
下校時に、1年生部員に「××君はしっかりやったか?」と聞くと「やっていました」と自信を持って私に答えた。
××君が来たので、私は「××君、よくやったじゃん。昨日はあんなに怒られたのに、よくできたね。みんな××君がやっているって認めているよ。こうやって信頼を勝ち取っていくんだ。うそをつくのではなくて、一生懸命な姿で周りの心を動かせるんだよ。すごいじゃん。さあ、また頑張っていこう」と言った。
××君は嬉しくて泣いているようだった。そのまま下校していった。