第一回の台本を読ませていただいたときから、「あぁこれは、大変なことになったぞ」と思いました。
たとえば第一話で、清盛(当時の平太)の頬を打つ場面がありますが、これはその後の清盛や、宗子と清盛の関係に大きな陰を落とす重要なシーンです。
また、宗子のひと言ひと言が清盛や家盛だけでなく平氏一門に影響したり、みんなを振り回したりするんだなと思うと、とても重要な役を与えてくださったのだなと思い、台本を読み終えてから、何十分か立ち上がれなかったほどです。
ですから、宗子を演じるということに大きなプレッシャーを抱えたまま撮影に入りました。
男子校の中に女子がまぎれ込んだような感じです(笑)。
そこには男の人たちの、平氏一門のとてもまとまった和気あいあいとした空気があるので、最初は「どこまで会話に入っていっていいのかな」と思うほどでした。
でも、そういう男性ばかりの中にいると、自然と女性らしさというものを意識しますね。
今の時代は、女性もキャリアを重ねてどんどん社会に進出しています。女性が強いとも言われています。でもあの当時は、違いますよね。男性は男性、女性は女性というのをすごく感じます。刀をもって戦う男の人たちのなかで、女性はどういう思いでそこにいたのか?今の時代では考えもおよばないことのように思います。
ただ、母親の存在はとても大きかったのではないでしょうか。戦(いくさ)に出て行って、いつも危機感とともに生きていても、母親と相対するときはやわらかな表情をしている。松山さん(清盛)も、大東さん(家盛)も、西島さん(頼盛)もお母さんに対する愛情があふれるお顔をしている瞬間が何度か見えて、「あぁ、こういう時代でも母の存在って大きいんだな」と実感しました。