忠盛は清盛の母である舞子(吹石一恵)という女性を白河法皇(伊東四朗)に殺されて、添い遂げられなかった。忠盛は、そのつらさや悲しさをずっと心のなかにもち続けます。当時は政略結婚が当たり前でしたが、自分の子どもたちには、お前に気持ちがなければ結婚しなくていいということを言い続けます。逆に言えば、本当に愛している女性がいるなら、身分が違っても結婚しろと。理不尽な理由で大切な人を失った忠盛の父親像がそこにはあると思います。
また、ドラマの前半では清盛に好きなことをさせる。でも間違ったことをすれば許さないぞ、たとえ息子でも殺すと言い放ちます。子どもの自己が目覚めるまで好きなことをさせる教育方針は、非常に男らしく、ある意味、男があこがれる親子像なのかなとも思います。
今、日本で起っているいろいろな事件の背景には、人と人とのきずなの希薄さがあると思っています。それは日本だけでなく、すべての国が経済という物差しだけで動くようになってきて、人と人とのつながりが利害だったり金銭だったりすることにも現れています。
そういう人と人とのつながりの希薄さが、人間のゆがみや社会のゆがみを生み出しているような気がします。きれいごとだけではやっていけないことはよくわかるけれども、第一に優先するものは何なのか?ということを現代人は忘れかけているのかしれません。
この『平清盛』というドラマは、人と人とのつながりとは何か?人が人に惚れるということはどういうことなのか?ということを再認識させてくれるようなドラマになるような気がしています。
人と人、そしてファミリーのあり方を描くことが今の時代には大事なような気がします。