大河ドラマ「平清盛」

ホームへもどる

忠盛という男、そして父。

第2回『人と人のつながりとは何か、を描くドラマ』

忠盛を演じるおもしろさや、難しさを教えてください。

忠盛は、実の子ではない清盛に自分の跡を継がせると決断します。自分に子どもがいなければ別ですが、自分の子どももちゃんといて。しかも周りの人間は、その子に後を継がせるほうがいいと言うにもかかわらずです。
忠盛には、平氏の血を引いていない子に跡を継がせていいのかという葛藤や苦悩は必ずあったと思うし、そこには演じる上での難しさがありました。 忠盛と清盛の関係はぼくが見ていてある意味、父と子の理想像というか、忠盛のように子どもを育てられたらいいなと感じています。

寡黙で、あまりしゃべらない忠盛の心情を表現するのは難しいのでは?

忠盛という男、そして父。

ぼくは、役者にとってセリフを覚えてそれをしゃべるということは、料理人がタマネギをみじん切りにすることと同じことだと思っています。料理人に「すごいですね、タマネギをみじん切りにできるんですね」とは絶対言わないですよね。ただ、出て来た料理に対して、おいしいか、おいしくないかを判断するってことだと思います。
役者も、みじん切りの部分というのは当たり前の部分で、そこから先のプラス・アルファをお客さんに見ていただくことが大事だと思っています。セリフはもちろん、覚えるのもしゃべるのも大変なんですが、それが大事だとは今まで思ったことはありません。しゃべらずに目でものが言えたり、それこそ背中でものが言えたりするのが、芝居の真髄にあるとずっと思っています。
今回は、寡黙な役なので、表現するのが難しいのではと言われますが、しっかりその役の軸をもっていれば、その人物がしゃべろうが黙っていようが、それほど違いはないと思います。ドラマでも軸というのがテーマになっていますが、忠盛はちゃんと軸をもっている人なのでセリフが少なくても演じることにそんなに苦労はしません。

清盛から「朝廷の番犬だ」と言われますが、そのときの忠盛の気持ちは?

そんなこと言われても気にならないような大きなものを忠盛は狙っています。第4話(1/29放送分)に、源氏の為義(小日向文世)が忠盛を斬りにくるシーンがありましたが、そのとき忠盛は、「源氏と平氏、どちらが強いか。それはまた先にとっておくことはできぬか?武士が朝廷に対して、充分な力を得てからでもよいのではないか?」と言います。
大切なのは、自分がどこを狙っているかということ。スポーツ選手でもそうだと思いますが、たとえば次のオリンピックでは自分は世界のどの位置にいるべきだということを常に見据えている人は強い。だから日々の練習にも耐えられるんです。
それはたぶんこのドラマでいう軸、どこに軸をもっているかということだと思います。ぶれない軸をしっかりもっていれば、なんと言われようが気にならない。「お前にもいずれわかる」と。

ページトップへ↑
←もどる