檀さんとは、共通の友人もいて、以前から「共演したいね」と話していたので、今回初共演できてとてもうれしく思っています。また、女同士のバトルを演じる役柄だったので、すごくおもしろかったです。お互いに試行錯誤しながらお芝居をつくっていけたのかなと思っています。
でも、檀さんはもうクランクアップされました。璋子さんが亡くなったあとの得子のセリフで「張り合いがなくなって、つまらない」というのがあるのですが、私自信も檀さんがクランクアップされて今はさみしい思いをしています。
璋子さんと対立していく背景には、鳥羽上皇の心を得たいという女性としての強い気持ちがあります。純粋培養されて育ったような璋子さんは、得子にはないものをたくさんもっています。自分にないものをすべてもっている璋子さんに対して敗北感を感じることもきっと多かったと思いますが、それでも得子は鳥羽上皇の心を得たいという一心から国母の座へ上り詰め、最後には権力欲へと走っていきます。
人は誰でも、どうあがいても人生のなかで手に入れられないものがあるはずです。得子は頂点に上り詰めても、心のなかにはどうしても埋めることのできない空洞のようなものをかかえていたのではないでしょうか。そういう部分は同じ女性として共感できるところもあります。ただ、権力欲に翻弄されるのは、人間として愚かなことだと思います。しかし演じる上では、そこをしっかり表現することができれば、得子という人物がこの作品のなかでリアルなものになっていくはずだと思っています。