これまでぼくがやらせていただいた映画やドラマと比べると、大河ドラマは制作期間が圧倒的に長い。映画だと1か月半か長くても3か月間、ドラマの場合はワンクールで約3か月間です。今はもう『平清盛』の撮影に入って3か月以上がたちますが、まだ清盛の成長段階を撮影しています。清盛と聞いて多くの方がイメージする権力の頂点にいる清盛にはまだまだ到達していません。
そのぶん、清盛という人物をじっくり、細かく演じさせてもらっています。これは、役者としてとてもやりがいがあるし、演じていておもしろいのですが、その反面、清盛という人物をどう演じていくかという長期的なプランを組み立てていないと迷子になってしまいます。そこが、1年という長い期間で放送される大河ドラマならではの難しさかなとも思っています。
現在は第16話あたりの撮影をしていますが、清盛という人物の軸がぶれないように今朝、もう一度、第1話から脚本を読み返しました。それくらい長くて大きな作品です。
ぼくが一番確認しなくてはいけなかったのは、第1話から現在撮影している第16話では、その間に20年近い時間が流れているので、その約20年の歳月のなかで、清盛がどう変化、成長していったのかをもう一度確かめることでした。
また、第1話のセリフが第16話にも反映されていたり、どこかでつながっていることもありますから。
それとは少し違いますが、第7話と第14話で同じセリフがあります。まったく同じセリフでも第14話では清盛の成長がはっきりわからなければいけない。脚本を読み直すことで、表現のしかたが変わることもあるので、これは大事な作業だと思っています。
志願したというより、どういう作品なのか聞いてほしいと事務所のスタッフに頼みました。
たまたまニュースで、2012年の大河ドラマは『平清盛』で、家族の絆がテーマで、清盛がゴットファザーになっていく物語というのを知って、すごく興味がわいたんです。
人と人とのつながりやコミュニケーションが薄くなっている現代で、このテーマはすごくタイムリーだし大事なことだと思ったので。
ただ平清盛役をやりたいから詳しい話を聞いてほしいと言ったのではなく、そういう作品に自分も何らかの役で携わりたいと思ったからなんです。ですから、清盛役でと言われたときは、すごくびっくりしました(笑)。