大河ドラマ「平清盛」

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キャラクターそれぞれの人物デザイン01

平清盛(平太) 松山ケンイチ

清盛というより、まだ幼少名の平太(通称、高平太)ですね。
平太の人物デザインで最大に表現したかったのは“野性”です。でも、ただ単純に荒々しい男っぽさを表現するのではなく、そこに中性的なしなやかさも加味したいと考えました。
松山さん自身は、男らしさやたくましさをもっている役者さんです。でも、女性物を着ると、不思議としなやかな表情や中性的な雰囲気が漂うという魅力もあります。荒くれた男っぽい着物の上に、あえて女性物の袿(うちき)を着せたのはそのためです。
男らしい野性だけでなく、ナイーブでしなやかな中性的な感受性をもち合わせた人物として高平太を表現したいと考えました。

ストーンウォッシュをかけた袿(うちき)

野性を中性というさやにうまく収めるために、あえて女性物の袿を着せています。
ストーンウォッシュをかけて色彩を落とし、素材感もボロボロにしています。また、破れたところを手縫いするなど、女性物の袿ですが、そこにはたくましい男らしさも感じさせます。
通常は、裏地のない袿ですが、今回はあえて黒の裏地を付けました。そこには、デザイン的な意味だけでなく、3.11で被災された方々のために喪に服するという意味も込めました。

縄で海との連動性を表現

肩から何本かの縄やひもをかけています。それらは、平太が出会う漁民や海賊たち、そして海をイメージさせるものとして採用しました。

黒と銀

平太が首からさげている木製の数珠みたいなものは、黒色と銀色を象徴するアイテムとして採用しています。黒色に染めた数珠と、その間にちりばめた“らでん”の銀色。“らでん”も黒で多少染めていますが、この2色は清盛にとって今後意味が出てくる色です。ちなみに銀や鏡などの反射物は当時、邪悪なものを寄せつけない力があるとされていました。

朱色への思い

肩からかかったひもの朱色は、平家の赤を象徴する色ですが、あえて平家の旗に使われている強烈な赤ではなく、彩度を抑えた朱色にしています。
また、映像ではなかなかご覧いただけないと思いますが、平太が履いている高下駄(たかげた)の裏にも朱色を塗っています。これは、平太がもつ美的感覚の特殊性を表現する一面と、平太を演じる松山さんへの影響を配慮する目的もあります。カメラに映らない部位のデザインであっても、平太というのはどういう人間で、どういう特殊性をもっているのか?どのような性格なのか?ということを松山さんに伝え、少しでも役づくりに役立ててもらうために、高下駄の裏を朱色に塗りました。

鹿の角で作ったかんざし

鹿は、神性な意味をもつ動物です。平太のかんざしは、鹿の角を削り出して作ったとしています。このドラマでの平太は、白河法皇の御落胤(ごらくいん)という設定であり、神性とともに産まれてきているという思いを、鹿の角のかんざしに託しています。

象牙色の宋剣(そうけん)

かんざしの色と連動させて、平太が持っている宋剣の色彩も象牙色にしています。象牙色に強い意味をもたせているのではなく、視覚的な全体の色彩イメージを連動させています。

漁網を使ったアクセサリー

平太は放浪の旅に出て、そこで国松(くにまつ)、時松(ときまつ)、蝉松(せみまつ)という漁民と仲良くなります。ちょうどそのころ、白河法皇により「あらゆる動物を殺してはいけない、漁もやってはいけない」というおふれが出ます。そして漁師たちは泣く泣く投網を燃やします。
平太が首に巻いているのは漁網で(写真下)、同じものを国松、時松、蝉松も巻いています。これは、4人の友情の証であり、漁を止めさせた白河法皇への反旗でもあります。
またこれも、個人的には3.11で被災された方々の敬いや追悼、また海の生業(なりわい)がままならない方々へのいち早い復興の思いを込めさせていただきました。

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