大河ドラマ「平清盛」

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キャラクターそれぞれの人物デザイン03

鳥羽上皇/法皇 三上博史

意外に苦労した冠選び

天皇の時期は、冬は白、夏は藍色(あいいろ)の御引直衣(おひきのうし)、下は赤の長ばかまです。御引直衣とは天皇や上皇が日常に着ているもので、衣装的には決まり事なんです。
ただ、冠(かんむり)選びには時間をかけました。実際に存在するものから選ぶのですが、それが膨大な数があるんです。三上さんはお顔というか頭が小さいので、なかなかフィットするものがなく、しかも時代や立場によって冠の前の角度などが微妙に違います。最終的には、3点をチョイスし、それらを微調整しました。

メイクでの、心象表現

メイクはすごく凝っています。これは、劇的にメイクで変えるということではなく、三上さん演じる鳥羽上皇(法皇)の心情の移り変わりに合わせて変化をつけています。
最初の璋子(檀れい)に純粋に心を寄せているころは、顔の輪郭を柔らかくするために、光の反射で丸みを帯びるようにハイライトをかけたり、眉毛の形も淡いアーチ型に整えたり、青年然とした爽やかな感じにしています。その後、璋子への愛憎に揺れ苦もんの時期や、もっと先の白河法皇亡き後に実権を握る時期では、メイクがかなり違っています。法皇になったころは、目に下にラインを入れたり、仮面としてのメイクアップとなっています。
三上さんは、扮装(ふんそう)やメイクをご自身の心象表現に役立てることに積極的な役者さんで、ご自身がどうメイクすれば映像にどのように映るかを客観的にわかっていらっしゃる。
三上さん演じる鳥羽上皇(法皇)の心の変化に応じて、メイクがどう変わっていくのかを見るのもおもしろいと思います。

堀河局 りょう

黄色とブルーという二面性

紋紗(もんしゃ)といわれている紗袷(しゃあわせ)で、堀河局らしい色彩を表現しています。
堀河局は、才色兼備で文才のある女性であると同時に、二面性のあるキャラクターです。自分の立場上、感情をあまり外に出さない“静”の部分と、内に秘めた激しい“動”の部分をもっている。その二面性を、黄色と強いブルーという、いわゆる補色を使うことで暗示しています。
いくら二面性があるとはいえ、1人のキャラクターで黄色とブルーのような真逆の色を設定することは、ぼく自身ふだんはやらないことです。でも、りょうさんだったら成立すると思ったし、かつ堀河局というキャラクターなら成立すると思えました。でも、黄色とブルーを選んだのは、自分自身でも意外でした(笑)。りょうさんご自身も意外だとおっしゃっていましたが、基本、りょうさんは何を着ても、どんな色でもお似合いになるので、ぼくとしてはいろいろなことにチャレンジしやすいですね。

定石破りの色合わせ

以前もお話ししましたが、今回は十二単(じゅうにひとえ)の色合わせの常道をあえて無視しています。古典的な定石を破るということは、ある意味、そこに現代的な感覚を取り入れるということです。たとえば、黄色とブルーどちらのバージョンも、濃い紫色を中に合わせています。これは、堀河局の少しどろっとした部分のイメージであるのと同時に、色彩としての現代的なエレガントさやヨーロッパ的な感覚も感じさせます。この感覚はあらかじめ意図したり、論理的なものではなく、りょうさんというパーソナリティーと、堀河局というキャラクターをぼく自身が感じ取っていくなかで、自然に入ってきた感覚であり、色合わせです。ですから、論理的に説明するのは難しいのですが、現代の人が見てリアリティーを感じてもらえる要素としては、とても重要だと考えています。

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