若いころの宗子は、少しくすませた桃色の紋紗を着せています。これは、第1話や第2話くらいまでです。その後は、
アイスグレーやグリーン系の着物です。
和久井さんにアイスグレーはとてもお似合いだと思います。グレーとグリーンがぼくにとっても宗子の色彩です。和久井さんご自身の静けさや内に秘めた激しさ、そして宗子の性格設定、それをすべて内包する色彩がアイスグレーやグリーンなんです。
家盛(大東駿介)が若くして死んでしまうときは、黒っぽいものを着ていますが、これも正確には黒ではなく、グリーンを深くしていった色です。
ビジュアルアイデンティティーとして、平氏と源氏は赤と白に振り分けられますが、それぞれの二重構造の色として、赤に対して深いグリーン、白に対して深い茶というイメージがぼくのなかにはあります。これはロジカルな理由があるわけではないけど、赤と深いグリーン、白と深い茶が対の色彩になっています。