少年期の鱸丸のヘアスタイルをどうしようか?と考えたとき、やはり漁師は舟に乗って海に出るので、自由な雰囲気で、潮風で髪がうねってほしい、動いてほしいと思いました(もっとも本来は風が作業のじゃまにならないようにしているでしょうけれども)。そこで、結ってあるまげを切っておろしてみました。すると、油を付けてねじってあった髪が、うねったように見えたし、油のせいで髪が潮風でベタベタ固まったようにも見えました。あっ、これはいいなと思いました。
これまでの漁師のヘアスタイルとも違うし、躍動感もある。少年期の鱸丸のヘアスタイルが、上川さんが演じる鱸丸のヘアスタイルにつながり、兎丸のロングヘアにもつながっています。決して『パイレーツ・オブ・カリビアン』を意識したのではありません(笑)。
もう1つのポイントはターバンです。漁師は汗もかくだろうし、ターバンを巻いてもおかしくない。ただ、当時はきっと結び目は前にあるはずなんですが、あえて後ろで結ばせています。これは、ぼくのなかではペルシャを意識した記号です。海に関する登場人物には、海の向こうにある中国、さらにその向こうにあるペルシャを感じさせたいという思いがずっとあったんです。これは自分的には重要な仕掛けになっています。
また、鱸丸のふんどしは赤です。赤は漁師にとって大切な機能を持っています。サメよけのために漁師たちは赤いものを身につけていたんです。
赤のふんどしや赤い着物は、海の人間である証なんです。
また、盛国になると直垂(ひたたれ)を着ますから突然きれいになります。一気に変身という感じですので、ぜひご期待ください。