大河ドラマ「平清盛」

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キャラクターそれぞれの人物デザイン11

平時忠 森田剛

武士に憧れる貴族

時子(深田恭子)の弟である時忠は、とても頭がよく、時代を読む力にたけた人物です。文官の家系の貴族であるにもかかわらず、これからは武士の時代が来ると考え、武士に対して憧れを抱いている。
“文”ではなく“武”の時代が来ると先を読んでいるんです。
その時忠の考え方は、衣装でも表現されています。
位はそれほど高くないとはいえ、貴族なら狩衣(かりぎぬ)を着て、立烏帽子(たてえぼし)をかぶっているのが本来の姿。ですが時忠は、下は狩衣用の指貫(さしぬき)ばかまだけど、上は武士のふだん着である直垂(ひたたれ)を着て、侍烏帽子(さむらいえぼし)をかぶっています。貴族の決まり事からははずれていますが、時忠の武士への憧れを表現するためにあえてこのような人物デザインにしました(人物デザインでは基本、当時の決まり事を大前提にしています)。
色彩的には、上の狩衣はものすごく淡いあさぎ色、一方下のはかまはビビットな藍色。はかまはいろいろな色を試着しましたが、森田さんはこの藍色がとても似合っていました。生地感も上はザラッとしているのに、下はパリッとしている。
こういうアンバランスな感じも時忠ならではで、ほかのキャラクターではあり得ません。

リアリストだけど情もある

キャラクターとしても時忠はとても魅力的で、ぼくは大好きですね。頭が良くてロジカルに物事を考えることができるけれど、冷たい人間ではなく、情に動かされる部分もあるんです。たとえば、そっちに行くのは間違っていると自分では分かっていても、みんながそっちに行くと言うと「しようがないなあ」と言いながらもついて行き、そしてみんなをバックアップしようとする。リアリストなんだけど情もあるんです。
そういう微妙なバランスや二面性を人物デザインでも表現したいと思いました。
ドラマ的には、清盛と時子の間に時忠が入ってくることで、この先どんなケミストリー(化学反応)が生まれるのかとても楽しみです。

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