大河ドラマ「平清盛」

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弁慶(鬼若) 青木崇高

弁慶に関しては、みなさんがすぐに思い浮かべる、いわゆる弁慶のふん装です。
人物デザイン的に何かをズラす必要性を感じませんでしたし、逆に一目見て「あっ、弁慶だ」と認識してもらうことが重要だと考えました。
ただ、これは遮那王(しゃなおう:のちの義経)にも言えることですが、色彩的に白、モノトーンということを意識しています。みなさんご存じのように平家は「赤」と源氏は「白」というテーマカラーがそれぞれありますが、“平治の乱”以降、赤の平家は台頭し、白の源氏は衰退していった。
その構造を象徴的に感じてもらえるように、福原の清盛はもちろん、平家だけでなく後白河法皇や北条方にも赤をさし込んで、映像全体として赤の頻度をとても高くしています。その中で、弁慶には白の頭巾に黒の法衣(ほうえ)、遮那王には白の水干(すいかん)を着せることで、源氏ゆかりの白を名残りのように使っています。
五条大橋での弁慶と遮那王のエピソードは、両者のバトルだけが重要なのではなく、ここで2人が出会うことにより、ゆくゆくは平家打倒の大きなチカラに転じていくということに重きを置いているように思います。人物デザイン的には、
2人の白の割合を大きくすることで、やがて盛り返していく源氏の存在を象徴的に表現しています。

鬼若から弁慶に変わっても、その全体的なフォルムは変わっていません。鬼若のころから弁慶の七つ道具のように掃除道具を背負わせていましたから(笑)。これは、逆算的な発想ですね。変わったのは法衣の色と、頭巾をかぶらせたこと、七つ道具が掃除道具から武器になったこと、あとは数珠が多くなっていることくらいでしょうか。ですから、輪郭は変わっていない。弁慶は、鬼若のころから弁慶なんです。
細かなところでは、弁慶役の青木さんは足がすらっとしていますので、上の量感とバランスをとるために、いわゆる“弁慶の泣きどころ”にワラのようなものを巻いています。それでも遮那王に蹴られて「痛っ、痛っ、痛っあ!」と言っていますが(笑)。

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