大河ドラマ「平清盛」

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平清盛 金の裘代(きゅうたい)姿 /松山ケンイチ

“おごる平家”の“悲劇的な存在”

金色の法衣は、裘代(きゅうたい)を基本にアレンジを加えたものです。
裘代の下にたくさん重ね着させることで、全体的にボリュームを強くするのと同時に、動きを拘束しています。これを着ると松山さんはきっと動きにくいはず。このときの清盛はすでに60歳を越えているので、動きを緩慢にさせるという目的もあって、そうしています。松山さんの演技的な老人化とともに、衣装的にも運動性を拘束させて老人化させているということです。
さらには、様式的に能のフォルムをとり入れることと、金色で清盛の権威を象徴的に見せながら、金色の素材をコラージュすることで清盛の複雑性も表現しています。
この前まで着ていた赤の法衣は、駆け上がっていく平家の強さを全面に押し出した、まさに平家の旗印のようなものでした。ですが、金色の衣装では平家の赤は線として使っているだけです。これは、たとえ権威の象徴である金色をまとっていようとも、平家が没落に向かっているということを暗示しています。そういう意味では、“おごる平家”を象徴するような衣装だと思います。この衣装に謙虚さはまったくないですからね(笑)。
メイクアップ的には、シミを増やし、そのシミで彫りをつくったり、白髪を増やすことで、老いを加速させています。
信西の思いを受け継いで、より良い国をつくりたい、日本を開かれた国にしたいという志はあるものの、事態は思惑とは違う方へ、違う方へと転がっていっている。同時に、清盛自身がかつての白河法皇の“もののけ”感に近づいていっている。清盛はどんどん悲劇的な存在へとなっていくので、人物デザインをしていてぼく自身も辛くなってきましたね。

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