「すべての民の御母」 再び
まだ時々、この偽出現のことが気になるという人に出会う。
何故、聖体奉仕会の笹川シスターの守護天使は、「かつてマリアであられた」 という部分が抜けてはいるが、「全ての民の御母の祈り」 を先導したのか。
[前段として、2007年8月11日 「秋田の聖母 (2)」 を参照のこと]
これを取り巻く 「状況」 はどのようなものだっただろうか。
(以下は全て私の 「推測」 である。)
- 伊藤司教様はこのアムステルダムの啓示を信じておられた。故に、聖体奉仕会のシスター達の生活の中にこの祈りを導入したのは、伊藤司教様だっただろう。
- 「かつてマリアであられた」 という言葉は、当地のオランダでも、近隣諸国でも、確か当初からかなり疑問視されたと聞く。それはカトリック教徒たちの心をかなり動揺させた。当然である、「かつてマリアであられた」 なのだから。
正式な削除と置き換えが行なわれたのは比較的最近のことだが、それに類した動きはかなり初期の頃からあったのだ。だから、伊藤司教様のところに届いた祈り言葉も、その時点で、たとえ暫定的にであれ、「かつてマリアであられた」 という部分が削除された版 (ヴァージョン) だった可能性がある。
- そして、秋田の聖母の啓示があった頃の聖体奉仕会においては、その祈り言葉を唱えることは、伊藤司教様の指導のもと、既に 「習慣」 になっていた。
- 問題の部分が外された祈り言葉を 「言葉それ自体」 として見た場合、そこに特に問題は見られなかった。これが聖体奉仕会の霊的生活に悪影響を及ぼすことがあるとは、あまり考えられなかった。天国から見ても。
確かに 「形象自体が持つ影響力」 は、ピースシンボルやアンク十字にも見られる通り、有るだろう。このことは、「言葉の形象」 においても同様とも考えられる。つまり、たとえ 「かつてマリアであられた」 を削ったとしても、他の部分は全て、悪魔考案の祈り言葉のままである。そこには確実に 「言葉の形象」 の継承がある。
けれど、聖体奉仕会のシスター達の場合、それでも天国には 「シスター達の霊魂を保護できる」 という見通しがあったのだろう。
- 伊藤司教様は、厳密に言えば間違ったとは言え、基本的には善き信仰を持った立派な司牧者であった。その流れのまま行っても、聖体奉仕会のシスター達を大きく誤導する憂いはなかった。
そして、伊藤司教様がたとえ第二バチカン公会議やノヴス・オルド・ミサの問題にそれほど敏感でおられなかったとしても、それは天主の教会の 「大きな問題」 の中の 「小さな部分」 だった。天国でさえ、大きな問題には 「忍耐」 をもって臨まなければならなかった。だから、そんなに簡単に、右から左に、ポロリと、「この祈りは違います」 とは言わないのだった。
- 他方、アムステルダムの司教は、「全ての民の御母」 に既に公認を与えていた。
- 天国の目には、「かつてマリアであられた」 という言葉を織り込んだ悪魔の奸計は、かなり 「出来の悪い」 ものだった。「この程度のものなら、やがて人類は自分で判断できるだろう」 と天国は思った。果たしてその通りで、「 『かつてマリアであられた』 という箇所、これはこのまま残してください」 という "聖母" の明確な声明にも拘らず、教会はこれを正式に削除し、別の言葉に置き換え、且つこの信心は、この大きな間抜けな穴の故に、あまり発展しなかった。
(悪魔は別の機会と場所を物色し、やがてユーゴスラビアの一地方に目を付けた。)
これら全ての状況、その全体の中で、天国はどのように "判断" なさったか、ということだろう。この状況と 「見通し」 の中で、天使は、短兵急に、「この祈り言葉は偽出現と関係したものですから!"""ヽ(・o・)ノ"""」 と、笹川シスターに警告を発すべきだったか、ということである。地上の教会の平和と秩序を守るために、何を重んじ何を比較的軽んずるかという 「量り」 「算段」 は、天国の仕事である。天国と云えども、「状況的」 という言葉と無縁ではないだろう。
「人間には "天国の判断" のことなんて分かりようがない」 と言うべきだが、でも、このような状況全体をよく見る時、なにか、"ほんのり" とは分かる気がしないだろうか。
そして、私としての基本的な態度は、やはり前述の2007年8月11日の日記の一番下で引用した成相神父様の言葉である。
わたしの立場は 「わかりません」 「分からないでも構いません」 「あまり関心がありません」 「これは信仰の中心ではありません」 です。(中略)エネルギーをこういう問題に費やしてしまうのは、悪魔のわなにかかることかもしれません。他にしなければならないことがたくさんあるからです。
ただ、「秋田の聖母は白 (真)、全ての民の御母は黒 (偽)」 だとは思っている。
2009年1月15日
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