HOME > 企業・業界 > ゾンビ銘柄の宝石会社シーマとは?
ダイヤを芳香剤にすり替えた!? 宝石会社シーマの実態
ダイヤモンドが芳香剤の粒へ化けた。面妖な話ではないか。ジャスダック上場のブライダルジュエリー販売会社、シーマ(東京都中央区、白石幸栄社長)が保管していたダイヤモンド74個(1億900万円相当)を横領したとして、警視庁築地署は商品戦略部副部長、雨宮寛容疑者(39)を業務上横領容疑で逮捕した。『間違いだらけの宝石店選び―後悔しな
いための宝石購入バイブル』(現代書林)
雨宮容疑者はダイヤモンドを保管する金庫を1人で管理していたが、大きさがよく似た芳香剤の粒とダイヤモンドをすり替えて、ダイヤを60回にわたって持ち出し、都内の質屋などで換金、6700万円を得ていた。「競馬などのギャンブルに使った」と容疑を認めているという。
この事件が目を引いたのは、シーマを舞台にした犯行だったからだ。シーマはお騒がせ企業として、株式市場ではつとに有名。東京・銀座で「さくら画廊」(JDEを経て現在名称はホワイトストーン)を営む白石一族がオーナーの会社である。
さくら画廊の社長の次男、白石伸生氏が1994年9月、早稲田大学在学中にダイヤモンド販売を目的にシーマを起業。99年に父親と対立して同社を去る。00年3月に日本証券業協会(現ジャスダック証券取引所)に店頭登録し、弟の三男、幸栄氏が社長の椅子を引き継いだ。当時、24歳。ジャスダック上場会社の最年少社長として話題になった。
シーマは05年1月に株式の101分割を実施して証券市場を驚かせた。101分割というのは1株を101株に分けること。1株が101倍になるわけで株価はこれに反比例するのが普通だ。あのライブドアが株式の100分割をテコに株価を吊り上げたのにヒントを得たのではないか、と話題になった。101分割直前の05年1月25日の株価は2025円。単純に101で割ると理論株価は20円になるが、分割直後の28日には110円まで上昇。株価は5.5倍に跳ね上がったことになる。
このとき、シーマのオーナーである白石一族は、なんと発行済株数の約5割を投資顧問会社社長の有賀学氏に貸し付けていた。当時の主幹事証券だった新光証券が「貸し株はすべきではない」と進言したが、聞き入れられず、主幹事の座を降りている。貸し株によって、白石一族は多額の貸し株料を得た。一方、有賀氏は分割で株価が高騰するタイミングを狙って空売りを仕掛け、暴落後に買い戻すという、絶対に負けないマネーゲームで利ザヤを稼いだといわれている。一般の投資家を食い物にするものと兜町で非難を浴びた。
社長を除く経営陣が貸し株取引をしていたことは重要な会社情報なのに、それを適宣開示しなかったとして、内部管理体制の不備を理由にジャスダックは、同年2月、シーマを監理ポストに入れた。