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”いぇーい”のゲーム
…えと。
小説を書くことをオススメされたので、書いてみました。
ノンフィクションなので日記のようになってしまいましたが。
結構言葉が荒いです…ご了承ください。
なんだか肌寒い。
ここは…北極?
そんなわけないか。
それでも、足元では優しいぬくもりが…
「ん…」
廊下からバタバタと不愉快な音が聞こえる。
それと同時に枕元に置いてあるipodに手を伸ばす。
「…8時」
「唯智莉ー、そろそろ起きなさいよー」
自分の声と重なった母の声。
この堂々とした声は何気に好きだったり。
朝が苦手な私は、目覚ましで起きられない場合たいてい母に任せっぱなし。
この何気に長い春休みの間、まだ1度も目覚ましで起きてはいない。
4月からは中学3年生だというのに。
今は3月。長野県のド田舎ではまだまだ朝は寒い日が続いていて。
「…あのぬくもりは湯たんぽかい」
夢で見たあの温かなぬくもり。
湯たんぽのかわりに人のぬくもりだったら…と憧れるのは
きっと大切な人がいるからなのかもしれない。
重たい体を無理矢理起こし、昨夜準備した服を見つめる。
そういえば今日、同級生と一緒にゲームセンターに行くんだっけ。
胸元が大胆に開いた服。さすがに中学生でそんな恥ずかしい着方は
できないので、中にストライプのキャミソールを着てごまかし、
黒いレギンスの上に短パンをはく。
…やっぱり3月でこれは寒いかな。
白いカーディガンを羽織りながらipodを片手にリビングへ向かう。
「やっべ、俺、8時の電車できちまった…!」
「春風なにやってんのww まじかww」
「しょうがない…1人で待っているよ」
「ww了解」
同級生がipodの中で会話を繰り広げている。
「お母さんっ」
「なにー? …あ、これご飯っ」
温かなご飯をわたしの目の前に置き、ミルクティーを
コップに注ぐ。
「今ね、涼太くんがね、1時間前の電車で先に行っちゃったみたい」
「なんでまたそんなこと…」
「わたしだったら絶対1人で行こうとはしないなぁ…」
「それはみんなそうでしょう」
…あちっ。
ミルクティーで火傷してたまるかっ!
なんやかんやで時間がたつのは早くて。
「9時! お母さん、行ってくるね!」
「はいはーい、気をつけて行って来なよー」
慌てて靴をはき、”蒼黒”と書かかれた名札の付いた折りたたみ傘をもち、
外へ飛び出す。
灰色の空の下。
天気予報は、曇りのち雨。
なんで今日は青空じゃないんだよ。
さらに風が強いなんて。
「あ、唯智莉ちゃんー!」
「おはよーっ」
一緒に出かける岩橋智香ちゃんと顔を合わせて自然と笑顔になる。
やっぱり、智香ちゃんの服のセンスは面白いや。
…あ、バカにしてるとかそういうのじゃなくて…!!
駅に着くと男子がもう待っていた。
わたしの元彼、千賀光輝くんと、智香ちゃんの元彼、赤堀聖二くん。
なんで元彼と出かける約束をしたんだろうな。
本当はカラオケの予定だったが、予約をすることすらできないくらい混雑していたみたい。
やっぱり春休み。
電車の中にも溢れるほどの人が乗っている。
ド田舎だからこんなに乗っていることも珍しい、ってくらいに。
都会だったら当たり前の人数なんだろうけど。
「まぁーったくもぉー!」
光輝くんが笑いながら、先に行ってしまった春風涼太くんのもとへ走り出す。
あれ、こんなに早くついたんだ。
もう涼太くんと合流してるし。
風が強い中、男子と女子でバラバラになりながら歩く。
「…智香ちゃん、もうあんなに男子がっ」
「早いって…歩くの」
もう少し気遣ってゆっくり歩いてくれてもいいのにな。
どうしてこの人たちはレディーファーストという言葉を知らないのかな…。
「ねぇねぇ、唯智莉さんー?」
遠くの方でわたしを呼ぶ低音な声。
坊主の聖二くんが後ろ歩きでこっちに顔を向けていた。
「なぁにー!」
「ほらほら、すぐそこにベルサイユがあるよ! 一緒に行こうかっ!」
「ベルサイユ…? なにそれっ」
「ほら、目の前ーっ」
ニヤニヤしながらこっちを見てくる3人。
…何が言いたい、この人たちは。
「んー…いいんじゃない?」
「いいんだっ」
「てかベルサイユって何…」
視線斜め前に、お城のようなきれいな建物があった。
そこの上には肌色の看板。 結構古くにつくられたみたい。
「ベルサイユ…ホテル!?」
「ぷはははははっ!!」
高らかに笑う男子と智香ちゃん。
周りは国道で車が通る中、笑い声は騒音に負けずに響いていた。
「よし、唯智莉さん、一緒にヤりに行こうか」
「いかないからぁ!!」
「…そうかぁ。光輝一緒に行ってこいよ」
「なんで俺なんだよっ!」
「どーせさっ、唯智莉さんと付き合ってる時にさっ、ヤったんでしょっ!」
『ヤってない!!』
怒ってばかりだったからか、喉が少し乾いた。
それでも、ベルサイユのすぐ隣にはゲームセンターがあったため、
自動販売機を横目で見ながら通り過ぎる。
「やっとついたぁー」
はぁ、と息をもらしながら自動ドアを通り過ぎる5人。
そこには、ざわざわとしたいろいろな音の混ざった世界。
外の騒音とは比べ物にならないくらいの大音量。
「俺らバッティングセンターやってくるから、2人はなにか
他のことしててもいいからね?」
気遣っていってくれたのであろう聖二くんの言葉。
だけどわたしと智香ちゃんの答えは全く一緒で。
『見てる』
110キロの場所へ入って行く聖二くんと光輝くん。
後ろ姿、また大きくなった…?
「そういえば、涼太くんは打たないのー?」
近くの椅子に腰かけながら問いかける。
「…俺は打てないから」
下をションボリと向きながら答えられた。
周りにはどんよりとした空気が漂う。
「…打てなくてもガッカリすることはないよ」
励みになったのかは全く分からないけど、とりあえず声をかけてあげた。
その悲しみに溢れた声とは別に、カキン!と高らかな音が鳴り響く。
光輝くんがバットを強く握り締め、110キロのボールを打っていた。
やっぱり、こうしてみると野球ってかっこいいな。
ワァァァァァァァァ!!
ホームランッ!!
遠くの方で打っていた知らない人がホームランを打ったらしい。
バッティングセンターの中に機械のざわめきがうるさいってくらい鳴っていた。
「俺もうちてぇなー。ホームラン」
「聖二くん打ってよぉ」
「打てないんだよ!ちくしょぅ」
先ほどかすって後ろに落ちていたボールを握りしめ、
そのままホームランボードに向かって思いっきり投げる。
端っこに当たったが、周りはただただ「カキンッ」という音ばかりだった。
智香ちゃんとは、とても怖いと言われている全身で感じるゲームなど、
体をつかったゲームをすることが多かった。
「ねぇ、これすっごい怖いからやってごらん!?」
「…俺怖いのいやだもん。心臓に悪いもん」
女子よりも弱々しい男子たち。
この人たちは、本当の恐怖に立ち会った時どのような行動をするのだろう。
ボールを投げて当てるゲーム。
男子がそのゲームを終えたみたいで、GAME OVERの文字が大きな画面に
映し出される。
「はーぁ、終わっちまったよぉ」
「これ面白かった?」
「うん、本気で投げてやった」
ぷはっ、と笑いながら話している涼太くん。
その横で地味にボールを投げて片付けている光輝くんの姿。
しょうがないなぁ。手つだってあげよう。
隣に行って、ボールを一緒に投げる。
無言で。
すると智香ちゃんも手伝ってくれた。
最後の2個だ。
そう思い、手を伸ばした瞬間。
温かい手がわたしの手に重なった。
「…あ」
「ごめんっ…」
隣にいた光輝くんに謝られる。
「大丈夫… …投げる?」
「投げるわ。 …おりゃっ」
…さすが野球をやっているだけある。
画面の中にいたおじさんの顔面に直撃して、ボールはぽて、と不思議な音をたてて落ちた。
「クレーンゲームやーるぞぉー!」
高めで、だけど結構イケボな涼太くんが声をかけると、みんなが一斉に腕まくりをした。
「これとれそうだよ、これ!」
みんなで声をかけあって、取れそうな物の場所に集まる。
こんなところで団結力を使ってどうするんだろう。
結果、取れたのはすごい量で。
「俺このお菓子ー!」
「いや、わたしものだし」
「俺のだろ!」
なんて周りの迷惑になるんじゃないかってくらい大きな声で喧嘩していたが、流石に私たちの声は
ゲームセンターの音には勝てない。
ただ、ざわめきが大きくなった、くらいかな。
「おい光輝、そんなに大きいカバンがあるならお菓子全部背負えよ」
「えぇ…」
って言いながらも、光輝くんはいつもやってくれる。周りから頼まれたことを。
「しょうがないなぁ…」
しぶしぶ、私たちみんなに手を差し出してくる。
もっているお菓子を預けて、と。
「さっすがぁ」
光輝くん以外のみんなで、光輝くんへ感嘆の言葉を発した。
「プリ撮るー?」
その言葉に、わたしは結構迷いがあった。
まだ付き合ってて”リア充”というものを感じながら遊びに来た頃。
みんなで撮って、わいわいして。
その時は確か8人で来たんだっけ。
プリ機の中はぎゅうぎゅうですごく狭かったのを覚えてる。
半分しか写ってない人がいたりとか、人の影に隠れてしまった人がいたりとか、
バラッバラで撮ったプリは今でも大切に保管してある。
でも、光輝くんと2人で撮ったプリは物置きの奥底に眠らせた。
見るのが辛かった。
というか、2人で仲良くしているのを見るのは嫌だった。
また、一緒に写るっていうことは思い出が増えてしまう。
「撮ろうよ…!」
「撮るかぁ!!せっかくこのメンバーできたんだし」
…だけど。 この楽しい空気は壊してはいけないと思うから。
「…うんっ! 誰がお金払うー?」
もう別れているんだし。そんなに気にすることはないかな。
小さいプリ機の中に5人が入り、持っている鞄を置く。
「…あれ、それ誰の鞄?」
指をさしながら問う涼太くん。
「え、わたしのだけど?」
「びくったぁ、誰か忘れて行ったのかとっ! そうだとしたら俺が持って行っちゃおうかな
って思ってた☆」
「おい、こら、盗むんじゃないっ!」
「ほらほら、こんな会話してる間に智香さんはもうすべて撮る設定を決めてるぞ」
肩をぽんっ、と叩きながらわたしと涼太くんに知らせてくれた聖二くん。
…それと同時に。
(ボサッ)
鈍い音がプリ機の中で聞こえる。
「いってぇ、なんだこの緑のカーテン野郎め」
聖二くんと光輝くんが、後ろに降りてきたカーテンの餌食となったみたい。
「なにやってんのっ」
振り向きながら笑う智香ちゃん。
それと同時に、撮影がスタートしてしまう。
「やべぇやべぇ、俺どこ行こう!」
「ちょ…おれ端っこー!」
「え…じゃぁ、俺は今いるここでいいやっ」
「…俺真ん中!?」
「んじゃぁわたしと唯智莉ちゃんは前でいっかー」
「そうだねっ!」
『3・2・1・パシャッ』
何とか6枚撮り終わった。
とてもあわただしい撮影だったけど。
その後にはラクガキをするのは当然のことだろう。
「ねぇねぇ、これグループ名入れられるらしいよ?」
1番最初にペンをとり、椅子を独占した聖二くんが私たちに知らせてくれた。
「グループ名…?
俺ら役職とかもすべてバラッバラだしなぁ」
「なんか共通することってあるか?」
話しあっている最中に聖二くんはいろいろと適当に言葉を打っていく。
”ばか”
”やっふぅー”
”こうき” 「おい、なんで俺の名前なんだよっ!」
”こうきぃちり”「俺と唯智莉さんの名前を無理矢理合体させるんじゃない!」
「ほらもー、あと15秒!! どうするぅ!?」
「…いぇーい」
ボソッとつぶやいた涼太くんの声で。
「…なんか俺らのグループ名が”いぇーい”になったな」
「…謎な名前やね」
「…適当なノリすぎたな」
「…まぁ大丈夫だろうっ♪」
キレイに撮影されたシールがポタッ、とかわいい音を出して落ちてくる。
こうしてみると、どうしてこんなメンツで来たんだろうな。本当に謎。
「そろそろご飯にするー? もう1時だし」
「近くのうどん店でおっけぃ?」
「全然大丈夫だよーっ」
ゲームセンターを出ると、一気に寒くて静かになって、世界がまたガラリと変わった。
「唯智莉さん、どうする?
うどん食べた後でいい?ベルサイユに行くのは」
「だから行かないってば!」
「てかさぁ、今これやってるの?」
「…智香さん…!? ヤってる!?」
「…違う違う! 営業しているかってことの話しだよ!」
「そりゃぁ、ベルサイユの中ではいろいろな人がヤっ…」
「言わなくてよろしい!!」
木で出来たうどん店に足を運ばせながら会話をやめる。
和の雰囲気が、この木から漂っている気がした。
男子が先に注文をして、そこにわたしたち女子が続く。
席の座り方はバラバラで。
わたしは智香ちゃんの隣に腰掛けると、光輝くんが目の前、涼太くんが隣に座った。
「…ねぇ、あれって奏たちじゃない?」
3人の知り合いを見つけて、みんなに知らせる。
…正直言って、小学生の時に付き合った彼と、その家族。
あの一家にはとてもお世話になっていて。
「あれ、唯智莉たちじゃんー!やっほーっ」
なんて元気な元彼の母。
「…唯智莉ちゃん…どもっ」
なんて謙虚な小学5年生の元彼の弟。
「よぉっ…面白いメンバーだな」
なんて気楽な2つ年上の元彼。
家族3人でお出かけにきたらしい。
挨拶をすませると、全員がうどんを食べ終わりカウンターに置きに行く。
「わたしちょっと、トイレに行ってくるから…唯智莉ちゃん待ってて!」
「りょーかいっ」
「荷物もちゃんと見ててねっ!」
「はいはい」
智香ちゃんは元彼一家の横を通り過ぎてトイレに向かう。
「俺ら外行ってていい?」
「…んじゃぁ、わたしは待ってる」
「はーい、任せたっ」
1人になったわたしは店の中で寂しく待つのも嫌なので。
「…あ、奏?」
「なにー?」
「駅伝どうだったの…?」
中継される長野での駅伝大会に出場した奏は、兄と同じ高校の陸上部。
高校の名前を背負い、細い体で走った。
「…それを聞くでないっ」
ははっと苦笑いをする奏。
「まぁねぇ、あんまりいいタイムじゃなかったみたい」
奏の返事に補足をする元彼の母。
「そっかぁ…まぁ、奏なら足早いし、大丈夫だよ! 頑張れっ!」
「ありがとう」
さっきとは違う笑顔をみせてくれる。
「唯智莉は中3になるんだっけ?」
「うんっ、なれるかな…」
「大丈夫大丈夫、僕でもなれたんだから」
元彼とその家族と普通に話せてしまう自分が怖いなと思っていると、
智香ちゃんがハンカチを片手に戻ってきた。
「んじゃぁ、またっ」
「またね、唯智莉ーっ」
手を振ってお店を出ると、男子は何やらカメラを光輝くんに向けていた。
「なんでこんなところで写真を…」
聖二くんのカメラを覗きこむ。
「…なんでベルサイユと写真とってんのさっ!」
「いやぁ、これからね、光輝くんと唯智莉さんが中に入って行く記念として…」
「だから入らないわ!」
「…ねぇ、俺、首長くね?」
「どうして光輝くんはこのタイミングでそんなこと言えるのかな!?」
いろいろともめながらも、次のゲームセンターを目指して歩きだす。
次についた場所は、2階まであるところ。
そこで、わたしと智香ちゃんは今までみたことのないゲームを見つける。
「なにこれ…」
「ちょっとやってみようよ!」
真ん中から輪っかがでてきて、その輪が動いた方向の場所にあるボタンを
リズムよく押す。
そして、星が出てきたら画面を線に沿ってスライドし、
輪っかの長い線がでてきたら、ボタンを長押しする。
どこを見たらいいのかわからなくなって、パニック状態になってしまう。
「これ難しいねっ! でも面白いっ!」
なんていいながらのんびりとゲームをしていると、後ろに高校生くらいの
男の人2人が並ぶ。
そのうち1人を見た時に、驚いた。
…彼氏さん…?
身長は160くらいで小さめだけど、顔は明らかに彼氏さんに似ていた。
「まさか」と思った自分に「それはないだろう」と自分で突っ込みを入れる。
それと同時に、急に寂しさがこみ上げる。
わたしは遠距離恋愛をしている最中。
長野と兵庫という、すぐに会えない場所で暮らしている。
だからこそ、余計に辛い。
今、期待してしまった自分の胸の痛みを知らない後ろの男の人2人。
「中学生かな…」
「なんかこのゲームやる人少ないから、結構こうして見るの嬉しいな」
そんな会話が聞こえる。
…やっぱり違う。声が違う。
「…あーあ、もう終わりだぁ」
智香ちゃんがゲームの画面を見つめながら、残念そうな顔をする。
わたしはハッと我に帰り、一生懸命声を出した。
「…ま、またあとでやろう!」
「そうだねぇーっ」
下に置いていた鞄をもち、一緒に来た男子3人を探しに行く。
その途中に振り向いてさっきの人を見てみた。
…え、ちょっと。
「智香ちゃん智香ちゃん!!」
「どうしたのー?」
「さっきの人たちが神ってるんだけど!」
「…えぇ…?」
「ほら、見てみて!」
そこには、2人がすごい勢いでボタンを叩き、画面を滑るようにこする。
その手にはMy手袋。
まるで、達人のような姿。
「何あの人たち…! あんなにすごい人だったの!?」
「あんなの絶対無理だよ…! 早すぎでしょ… 何あの華麗な手の動き!」
「やべぇ、ちょーかっけぇー!!」
智香ちゃんと興奮して、思わず手をにぎってしまう。
「なにやってんの、2人とも…」
涼太くんが呆れた様子でこっちをみる。
『あれ見て!』
失礼だが指を指したが、もう曲は終わってしまった。
「あぁ…終わっちゃったぁ…」
「何…?あれがどうかしたの?」
「すごかったんだよ!かっこよかったんだよ!」
必死に説明をする智香ちゃんの横で、私はさっきの彼氏さんに似ている人を見つめる。
…いつか会えるよね。
心の中で確信を持ちながら、智香ちゃんに誘いの言葉をかける。
「もう一回やりに行こう! さっきの人たちと同じレベルのをやろう!」
「…さっきのは無理でしょ!?」
「やらなきゃわからない!!」
無茶なことを言っているのは分かるけど、私はチャレンジャーですから。
「そろそろ行くー?」
聖二くんがコーラを片手に持ち、光輝くんがお茶を片手に持ち、
わたしたちに声をかけてきたが、無理矢理ひきつれてさっきのゲームの前に向かう。
「よっしゃ、やるぞぉ」
「なんだこのゲーム」
「見ててみっ」
あの男の人たちみたいなのを参考に、かっこつけてやってみる。
「智香さん全然できてないんだけどっ。ほらほら、こっちきとるぞっ。
てか、唯智莉さんうますぎっ」
「えへへぇ…頭の中で修業をつんだからね」
「絶対嘘だろ」
ゲームの最中に話していると、見逃しそうになったりしてしまう。
慌ててボタンを押したら違うところを叩いていた。
「やべぇ、ちょーかっこいいじゃんっ、そのゲーム」
男子にかっこいいと言われてしまった…。
ハハッと自然に笑いがこぼれる。
「んじゃぁ、もう駅に行こうか」
少し寂しい気もしたが、時間がない。
歩道を歩いていると、女子高生たちとすれ違った。
「…あーっ。ナンパすればよかった」
「しとけよっ」
まぁこの人たちはこう言っておきながらナンパに縁はないと思う。
心ではいい人だと思うし。
駅の待合室で今日取ったお菓子を並べる。
知らない人は誰1人いなかった。
「ねぇねぇ、わたしさっき1分間で取り放題のやつやったらね…6個取れた!」
「まじで…すご!」
わたしの自慢に一番に反応したのは光輝くん。
「でしょでしょっ!でもあれ、せこいんだよ…クレーンの動きがちょー遅いの」
「それでも6個はすげぇよ。 俺なんか1個だから」
「…ぷっ」
「笑うなっ!」
バカにしたところで、みんなでジャンケン大会をする。
買った人から好きなお菓子を持っていく。 このルール。
なぜか光輝くんは、ジャンケンに負けるといつもわたしにどや顔をしてくる。
なんで負けた時にどや顔なんだよ。
そして今回も、いつものようにどや顔。
いや、負けてますから、あなた。
っていうわたしも負けたけど…。
無事にお菓子をみんなで選び、1人1人袋に入れる。
こんなに取れたのって、やっぱりすごいよなぁ。
電車に乗り、5人が1列に座る。
「ねぇ唯智莉さん、ちょっとメールの所見せてー?」
「な…なんで…?」
「いやぁ、面白い会話をみたいなー、と思ってね」
「ダメにきまっておる」
「お願いっ☆」
「かわいく言ってもだめだよ!?」
「はいはい…」
しぶしぶ下を向いてしまった聖二くんの隣で、光輝くんがわたしに話しかけてくる。
「ねぇねぇ、愁斗先輩のメアド教えて…?」
愁斗先輩というのは、結構仲良くさせてもらった先輩。
卒業式の日にはボタンをもらったくらい。
「いいよ…ちょっとまって」
返事をしながら連絡先を調べる。
「…はい、これこれ」
愁斗先輩のメアドを開いたipodを見せる。
「ごめん、こっからじゃ見えないから貸して」
「はぃ、どうぞっ」
「はぃ、どうぞっ」
光輝くんに渡したはずのipodが一瞬にして聖二君の手に渡っている。
「あ…ちょっと…だめだからっ!」
メールが起動されてしまう。
そのとたんにわたしの目が見開く。
やばい、彼氏さんとのメール見られちゃう…。
しかし、運がよく、開かれたメールはクラスの人とのメールで。
…だが、運がいいと思ったのは気のせいだった。
「…うわ、竜哉変態じゃん」
そのメールは、クラスの男子に、卑猥な言葉を言われた時のもの。
「こいつむっつりじゃんっ!」
「ちょ…内緒だよっ!絶対竜哉くんに怒られるってこれ!」
焦って自分のipodを取り返そうとするが、さすがに力の強い人には勝てるわけもなく。
手を掴まれて取り返そうとしても手が動かない。
そしてメールのページをスクロールしてどんどんと会話を見ていく男子達。
ニヤニヤしすぎ。
「唯智莉さんはぁーまったくもぉー、そーやって色気だすから…」
「色気なんか1mmもないわ!」
「その色気に光輝も落ちて・・・」
「落ちてないでしょっ!」
苦笑いをして外を眺める光輝くん。 これは私も戸惑いを隠せなかった。
「ほ…ほら、もう駅につくから」
「はぃっどーぞ」
返されたipodの電源を自分で切る。
自然に「はぁ」と息が漏れた。
「…そこがエロい」
「ちょ、何気に突っ込むな、涼太くんはぁ!!」
『まもなくー…』
駅員の声が聞こえる。
「面白っ」
ハニかんだ笑顔をこっちに見せて、立ち上がる。
その笑顔は、なんだか憎めない。
涼太くんの笑顔は、周りの人を笑顔にする力があるから。
今日は楽しかった。
ふっ、と心でそう思う。
降りた駅のホーム。
他に降りた人たちは、そそくさと駅の外へ出ていき、
わたしたちは挨拶を交わしながらゆっくりと外へ向かう。
「んじゃぁ、えーっと…またあとのメールで!」
「うん、またー!」
「じゃぁねー」
笑顔で手を振って、みんなの背中をみつめる。
そういえば、今日の天気予報は曇りのち雨じゃなかったっけ…?
空は変わらず灰色の曇り。
それでも気持ちは、清々しいくらいに晴れていた。
もっと文章がよく書けたら…。
感想やアドバイスをいただけたら幸いです。
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