2013年3月27日(水)
《当たり前のことを当たり前に》
本日開催された3月市議会本会議において「小野市福祉給付制度適正化条例」が可決、成立しました。この条例に関しては、新聞やテレビ報道などもあり、全国各地から2,000件(※3/26現在)にも及ぶ手紙やメール、FAX、電話等をいただきましたが、圧倒的多数の皆さんに条例の趣旨に賛同いただき、熱い激励のコメントを頂戴するなど、大変心強く感じたところです。ほんとうにありがとうございました。
また、市議会においては全国から注目が集まる中、「連合審査会」という新たな手法で全議員による条例案審議を行うなど、まさに市民の代表としてその声を反映した議論を尽くし、英断を下されたことに心より敬意を表するところです。
本来、生活の安定向上のために給付される生活保護世帯への保護費や母子家庭等に支給される児童扶養手当を、不正に受給したりギャンブルなどに浪費して生活困窮に陥ることは、誰もが「おかしい」と思われるはずです。この「当たり前のことを当たり前に言える環境」を整え、生活保護を含めた福祉給付制度の信頼を取り戻す。そして、市と地域社会とが一体となって、受給者の自立した生活を支援していく。このことが、この度成立した条例の本質です。
一部の反対意見の中には、条例に規定している市民に通報を求める点に関して、「監視社会や偏見を助長する懸念がある」という声もありますが、小野市のような規模の町では当てはまらない議論です。市内各地に昔からの小さなコミュニティが残っており、「監視」ではなく、地域の絆を深める「見守り」社会を目指しているのです。このことは生活に困窮され保護を必要とされている世帯の掘り起しも規定していることからも明らかです。大切なことは、「無関心から関心へ」と市民の意識改革を促すことにあるのです。
条例の内容については、市の顧問弁護士に相談し、厚生労働省にも聞いて問題ないことを確認しています。今後の運用において、一部の方から批判的・否定的に指摘されるような問題が仮に生ずれば、その結果を見て改善すればいいのです。いずれにせよ、これらのご指摘にも真摯に向き合い、この条例の趣旨を活かし、真に福祉の支援が必要な方に対しては、漏らすことなく、十分に福祉制度が行き渡るよう、適切に福祉給付制度の運用を行ってまいりたいと考えています。
この度の条例は、私が市長就任以来一貫して言い続けている「行政経営4つの柱」の一つ「後手から先手管理」の実践としての取り組みです。平成19年に制定した「小野市いじめ等防止条例」しかり、今年1月施行の「小野市空き家等の適正管理に関する条例」もまたしかり。全国どこにでも起こり得る問題、起こっている問題に対し、市民の声に耳を傾け、全国に先駆けて市独自で制定した条例です。
本来ならば、こういった問題は国において立法措置が講じられるべきところですが、「地方から国を変える」という気概を持って、市行政だけではなく、市民の皆様にも意識改革をしていただき、「まずは、やってみなはれ」という思いでチャレンジし、行動に移す。これこそが、現状打破と新たな創造を目指す「小野市の行政経営」での実践であります。