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さよなら、スタン
◎2013年3月23日放送分
今日は当店のバーテンダー、スタンさんの最後の出勤日。ケンタッキーへ帰って親戚の牧場を継ぐことになったスタンさんに、挨拶がてら最後の1杯をたのむ昔なじみのお客様が大勢いらっしゃいました。
そんなお客様が当店でグラス片手に語って下さるお話は、どれも当店の宝物。奥深いうんちくも、くだらなくも可笑しい笑い話も、スタンさんへの一番の手向けになったのではないでしょうか。本日はそのお話を、ここでご紹介させていただきます。皆様のご意見・ご感想も、ぜひこちらからお聞かせ下さい。
◎今回のお客さま
石原隆さん(テレビ番組制作会社)の
『大人のひとり飯』の話
会社の移転を機に麻布へ引っ越した。お正月やお盆、それから日曜日になると、麻布は驚くほど空いている。麻布十番の商店街は休みの日でも賑わっているけど、住宅街の方へと入ると誰もいない。その人のいないところが気に入っている。
ただ、困るのは食事。余った食材で簡単な料理を……なんてことは絶対にできない人間なので、デリバリーのピザを頼んだりしている。でもこんないい年したオッサンが正月に1人でピザを取っている姿は屈辱的なので、ピザを受け取る時に奥へ向かって「おーい、ピザが来たよー」なんて言って〈友達が来ている〉という小芝居をする。
最近は日曜日にやっているお店もずいぶん増えた。特に六本木ヒルズと東京ミッドタウンのお店は必ずやっているのがありがたい。六本木ヒルズならホテル「グランドハイアット東京」に入っている『オーク・ドア』のバー。あそこはステーキ屋からも中華料理屋からも料理を持ってきてもらえるのがいい。
そこで食事をしている時も、やっぱり「オッサンが寂しく1人で……」と思われるのは嫌なので、携帯に仕事の電話が掛かってきたふりをしたりして「この人は出張で東京に出て来てるから1人で食事をしているのか」とバーテンダーに思わせようと小芝居をする。僕の演じている男は、家に帰れば家族もいるし、同級生や昔からの友人に囲まれている幸せな男。でもこの週末は出張だから仕方ない……という設定。
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- おっさんひとり飯
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- 【大人の】「孤独のグルメ」の名言集【ひとり飯】(NAVER まとめ)
- ステーキハウス・グリル料理「オーク ドア」(グランド ハイアット 東京)
西田善太さん(「BRUTUS」編集長)の
『伝説のダジャレシリーズ』
最近、この店に足繁く通った頃のネタ帳を読み返してみたら、僕たちは90年代をダジャレで乗り切ったことを思い出した。その後、それなりに社会的地位や責任もできて、ずっとダジャレを封印してきたけど、今日はその封印を解こうと思う。
まずは気合いの入るシリーズ。「気合いの入る魚は?」「エイッ!」「気合いの入る数字は?」「トゥ!」「気合いの入る和食は?」「カツ!」「気合いの入る洋食は?」「ドリャ!」「気合いの入る内臓は?」「ィチョー!」「気合いの入る時計は?」「ホイヤー!」「気合いの入る商売は?」「コォリャ!」「気合いの入る監督は?」「オウ!」「気合いの入る色は?」「ホワ(ファ)イト!」「気合いの入る天候は?」「トォリャア!…メ」「気合いの入る家具は?」「チェスト!」「気合いの入る調味料は?」「オス!」「気合いの入る動物は?」「ウシッ!」「気合いの入る、ワイパーを動かす時に使うモノは?」「ウォッシャー!」「気合いの入る水たまりは?」「イケッ!」「気合いの入る運転手は?」「ハイヤー!」「気合いの入るお婿さんは?」「ヨーシ!」
逆に気合いの入らないシリーズなら「気合いの入らない食べ頃は?」「シュン」「気合いの入らない画材は?」「ガクッ」など。さらに23区シリーズ、島シリーズ、家シリーズ、駅シリーズ……いろいろあった。でも久しぶりに封印を解いてみたら、僕たちは90年代を乗り切ってなかったことが分かった。
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犬養裕美子さん(レストランジャーナリスト)の
『パリの日本人料理人』の話
日本から海外へ渡って料理の修行をする人は減りつつある。でも向こうでは日本人に対する期待度はすごく高い。フランスでもイタリアでも「日本人がいないといいレストランはできない」と言われるくらい。
パリでは「日本人は技術が優れているし、感覚が素晴らしい」と評判で、さらに「きちんと仕事をする」と評価されている。そんな当たり前の事がフランスで崩壊してきているのは、35時間制度という労働法があるから。修行中の料理人でも「あ、時間なんで帰ります」と言えるのは夢のような労働環境ではあるけど、料理の修業という観点からは疑問。
その点、日本人は技術を身につけるためにわざわざフランスまで来ているので、最後まで仕事をする。それで日本人に対する信頼が生まれてきた。『パッサージュ53』の佐藤伸一さんは35歳でミシュラン2つ星を取ったし、『レストラン・ソラ』の吉武広樹さんや『ケイ』の小林圭さんは1つ星。フランス人がおいしいモノを作る人を素直にリスペクトする姿勢には感心させられる。
ちなみに東京から修行に来た人は、基本的に「いつか日本に帰る」という意識がある。これは東京にまだレストランを出す余地があるから。でも東京以外の地域の人は帰っても入り込む余地がないので、パリに残るのも選択肢の1つになる。その結果、向こうの日常的なレストランをやる日本人がどんどん増えている。
- 【Hot Links !!】
- 犬養裕美子のレストランガイド。(VOGUE)
- 2年間で星を2つに!Passage 53の日本人シェフ(素材のちから)
- 美食の都、パリを席巻するのは、若き日本人シェフたち!──吉武広樹(パリ『レストラン ソラ』)(GQ JAPAN)
- 美食の都、パリを席巻するのは、若き日本人シェフたち!──小林 圭(パリ『ケイ』)(GQ JAPAN)
渡部潤一さん(国立天文台副台長)の
『ほうき星』の話
今、地平線までよく晴れた日に、日が沈んだ西の地平線を見ると、尾っぽをかすかに引いた帚(ほうき)星が見える。これが「パンスターズ彗星」。ハワイの望遠鏡から付けられた名前なんだけど、この望遠鏡は地球に近づく天体や彗星を探すために作られたので、実は「パンスターズ」の名を持つ天体はいくつもある。
今回のパンスターズ彗星は西の地平線に近いところに見えるので、見ようと思ったら西側に建物がない場所、東京なら富士山が見えるような場所がオススメ。西の地平線を日没後30分〜1時間くらいに双眼鏡で探すといい。今月の末くらいまではチャンスがある。色は基本的に白だけど、夕日と同じ原理で赤く見える可能性もある。
彗星は流れ星と違って天体なので、尾を引いた姿のままジッと止まっている。流れ星は1mm〜1cm程度の小さな欠片で、それが地球の大気に飛び込んで、燃えて光る。それに対して彗星は太陽系の中を動く大きな天体の1つ。
肉眼で見える彗星は10年に1度くらい。でも今年は彗星の当たり年で、12月のはじめにも「アイソン彗星」があらわれる。明け方の東の空に長い尾っぽを引いた姿が見られると予想されていて「50年に1度のチャンス」と言われているので期待大。
彗星の正体は太陽の周りをグルグルと回っている氷。太陽に近づくとその熱で炙られて溶け出し、それが蒸発して尾を引く。その尾を見て昔の人が「箒に似ている」と思ったことから「帚星」と呼ばれるようになった。
- 【Hot Links !!】
- 国立天文台
- 渡部潤一@cometwatanabe(Twitter)
- パンスターズ彗星(国立天文台)
- 肉眼でも見える? 期待の新彗星「アイソン」(アストロアーツ)
◎放送曲目リスト
Time | Title | Artist | Label | Number |
---|---|---|---|---|
11'04" | The Man I Love | Frances Wayne | Sony | SICP 1496 |
21'31" | I Was A Little Too Lonely | Nat King Cole | Capitol | CDP 7 48328 2 |
31'19" | Everything I've Got | Blossom Dearie | Verve | 314 526 448-2 |
41'47" | Swinging On A Star | Four Freshmen | Capitol | CDP 7 99179 2 |
◎来週の予約の噂
来週の予約状況をこっそりお教えしましょう。
3月30日の土曜日は、東京工科大学教授の佐々木聰さま、水中写真家の中村宏治さま、銀座・西麻布『鮨 青木』の青木利勝さま、などのご予約を承っております。
来週の土曜日もぜひ当店「AVANTI」にお立ち寄りください。