海自:規格外部品を潜水艦で使用 川崎重工納入
毎日新聞 2013年03月29日 東京朝刊
海上自衛隊の潜水艦に搭載された発電機の動力部を製造している川崎重工業が2000年から9年間、防衛省の承認を得ないまま、仕様書と異なる動力部の部品を納入していたことが、会計検査院の調査で分かった。本来よりも耐久性が劣り、08年には部品の損傷事故が2件起きていた。検査院は28日、部品の品質管理を徹底するよう防衛省に求めた。
検査院によると、問題の部品は発電機の動力部であるディーゼル機関の軸受け(ベアリング)。仕様書で定めた規格の変更には同省の承認が必要になる。
川崎重工は00年、軸受けの製造を委託している下請けメーカーが潜水艦向けの製造から撤退したため、調達先を変更。その後、規格外の部品が納入されるようになった。08年に潜水艦2隻で相次いで軸受けが損傷し、原因調査で規格外部品の納入が判明。09年に取り換えるまで耐久性の劣る部品が1000個以上使われたとみられる。
川崎重工が規格外の部品使用の承認を受けなかった理由は不明。防衛省は「指摘を真摯(しんし)に受け止め調査を行う」、川崎重工は「指摘の内容を確認中でコメントできない」としている。【古関俊樹】