放射線審議会:全委員が空席…防護策に影響も

毎日新聞 2013年03月30日 02時31分(最終更新 03月30日 08時20分)

 被ばく線量の基準を審議する原子力規制委員会の「放射線審議会」で昨年9月以降、委員の空席が続いている。政府の原子力行政に国民の関心が高まる中、規制委が任命要件を厳しくしたのが原因。政府は福島県の避難指示解除準備区域などで住民の帰還を支援するため、放射線防護策を検討しているが、審議会への諮問が遅れ、安倍内閣が掲げる「復興の加速」に影響する可能性もある。【阿部亮介】

 ◇昨年9月以降、委員の空席続く

 放射線審議会は民主党政権時代の昨年9月、文部科学省から、独立性の高い原子力規制委員会に移管された。丹羽太貫(にわ・おおつら)会長(京都大名誉教授)ら委員19人全員の任期は同年9月18日で切れており、後継委員の人選に入っている。

 規制委は審議会の透明性・中立性を高めようと、委員の任命要件を厳格化。原子力事業者の役員や研究者を除外したほか、任命直前の3年間に「同一の原子力事業者から年間50万円以上の報酬」「原子力事業者から研究室などへの寄付」の有無について、個々の委員に自己申告させて情報公開することも決めた。

 委員不在について、規制委の事務局にあたる原子力規制庁の担当者は「任命要件が厳しくなったため、人選に時間がかかる」と話している。

 政府は7日、復興推進会議と原子力災害対策本部の合同会合で、東京電力福島第1原発事故による避難者の早期帰還に向け、科学的な知見に基づく放射線の防護措置や低減策をまとめる方針を確認した。放射線の年間積算線量が20ミリシーベルト以下の避難指示解除準備区域では、帰還後の年間被ばく限度の基準設定も検討する。

 放射線審議会は東日本大震災発生後、除染関連業務に携わる職員の被ばく限度や、食品中の放射性物質の基準値などについて関係府省から諮問を受け、審議し、答申した。菅義偉官房長官は避難者の防護措置や低減策について「年内をめどに一定の見解を示す」としており、審議会が機能停止したままでは手続きが滞る可能性もある。

 ◇放射線審議会◇

 「放射線障害防止の技術的基準に関する法律」に基づき設置された諮問機関。学識経験者からなる20人以内の委員で構成される。昨年9月に文部科学省から原子力規制委員会に所管が移った。行政機関の長は、被ばく線量など放射線障害を防ぐための基準を定める際には、審議会に諮問しなければならない。下部組織として、専門的な事項を審議する基本部会が設置されている。

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