2011年3月

「Mobile World Congress2011」レポート【後編】


事務局のYTです。

前回に引き続き、先月スペインのバルセロナで開かれた「Mobile World Congress2011」の視察リポートをお届けします。

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大会では、ビッグカンパニーのCEOたちが行うキーノートスピーチ(基調講演)も見逃せません。 昨年に続きGoogleからはCEO、Eric Schmidt氏が登場。

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GoogleのCEO Eric Schmidt氏。昨年に続き、最も注目された基調講演だった。

 

前回は「通信事業者の収益を奪う存在」と手厳しい質問を受けていたSchmidt氏でしたが、「Mobile First(まず、モバイルから)」「Cloud」「Open」をさらに前進させること。さらにNFC(近距離無線通信)チップを内蔵したスマートフォンビジネスに取り組むことを発表しました。NFCはFeliCaをイメージしてもらえればわかりやすいと思います。要は「おサイフケータイ」のような機能がスマートフォンにも実装されることになる。NFCについてはNokiaやAppleもサポートするといわれていますが、日本のケータイがとうの昔に取り入れていた機能ですよね。 加えて、タブレット型端末に特化した動画編集アプリ「Movie Studio」も発表しました。ユーザーはこれを使うことで、動画と静止画を編集して、音楽やエフェクト効果を重ねることもでき、YouoTubeでのオンライン共有も可能だとのこと。

Eric Schmidt at Mobile World Congress(YouTube)

 

Yahoo!のCEO、Carol Bartz氏からも、タブレットに特化したAndroidアプリ「Livestand」が発表されました。

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講演中のYahoo!CEO Carol Bartz氏。

 

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SoftBank CEOの孫正義氏も、ジョークを交えた軽妙な講演で注目を集めていた。

 

ユーザーの興味・嗜好に基づいてパーソナライズされた情報がLivestandを通じて集約・配信され、そこにテレビ的な広告のプッシュ配信を織り交ぜることも可能とのこと。印象に残ったのは彼女の「content in context」という言葉。コンテンツは単体として存在するのではなく、ユーザーの思いや行動パターンに寄り添った文脈の中で収集されて価値を高めるものだ、というメッセージでした。こうしたコンテンツの扱い方を、テレビが不得意な「パーソナライズ」という機能を用いてLivestandがどのように提供するか、目が離せません。
これまでiPadに比べて後れをとっていた、「タブレットに特化した」サービスのリリースがAndroidでもようやく活性化してきたようです。

Yahoo! Livestandのオフィシャルサイト
http://www.livestand.com/

 

大会が成功裏に終わった直後、NTT docomo、続いてau by KDDIは、今大会でリリースされたAndroid3.0を搭載したタブレット型端末の国内販売を発表しました。また、今月2日AppleもiPad2を発表し、タブレットをめぐる競争もさらなる激化が予想されます。
NHKの豊富な映像資産をこうしたタブレット型端末に最適化した形で提供できるサービス開発を射程に入れる一方で、(前回紹介した)4G、LTEを使ったライフライン系の情報伝達は、私たちのくらしの安心安全に寄与するNHKの使命にも欠かせないソリューションであることを確信しました。

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次回は2012年2月27日~3月1日、バルセロナ・同地で開催予定。

 

また機会があれば、こうしたIT関連の最新動向をお伝えしてまいります。

投稿者:事務局YT | 投稿時間:19:14 | カテゴリ:お知らせ | 固定リンク
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「Mobile World Congress2011」レポート【前編】


ご無沙汰しております、編集部TKです。

きょうは、2回にわたって、バルセロナで開催されたMobile World Congress 2011の様子を、現地に行った事務局YTが報告します。

☆☆☆

はじめまして。事務局のYTです。

今回は、ワールドワイドなモバイル・携帯電話の最新事情を2回に渡ってお届けします!

先月スペインのバルセロナで開かれたモバイル業界で世界最大規模のイベント「Mobile World Congress2011」(以下MWC)に行ってきました。

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スペインといえば、サッカー、闘牛、生ハム。。。そんなものとは無縁のストイックな出張でしたが、2月14日~17日まで、バルセロナ市内のモンジュイック丘にある見本市会場で開かれたMWCには、世界200カ国から携帯電話会社、メーカー、デベロッパーなど50000人以上が集まっており、最新の動向を視察できたことに興奮を覚えました。

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モンジュイックに広がる会場。 巨大なホールが通りの両側に8つ設営されていた

 

MWCは商談を前提にした展示会の色合いが強いイベントですが、近年は世界の名だたるIT企業の経営者たちが一同に会し、今後の戦略を披露する場として注目を浴びています。
Google、Yahoo!、Microsoft、Intel、Qualcom、Nokia、Ericsson、Samsung、LG電子、中国移動、AT&T、Verizon、日本からはNTTdocomo、SoftBankなど、これだけの経営者たちが集まる機会は滅多にないでしょう。

スマートフォンやタブレット型端末の急速な浸透、次世代通信規格の本格始動など、IT業界の地殻変動は「モバイル」を中心に起こっているといっても過言ではなく、放送局として新しい取り組みに着手する上でも、「モバイル」は要となるはずです。

会場で、まず目を引いたのは何と言ってもスマートフォンを中心とした新機種の発表・展示でした。勢いを増す韓国勢の1つSamsungからはデュアルコア搭載とAndroid2.3の採用をウリにしたGalaxy S II、そしてSonyEricssonからは3つのAndroid端末、XPERIA「pro」「neo」「play」が発表されました。2社は同じ時間帯にプレスカンファレンスをぶつけてきており、お互いに意識し合っていることがうかがえました。

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新機種が並ぶSamsungのブース

 

そして、MicrosoftがリリースしたWindowsPhone7にも注目が集まっていました。
大会に先立って、携帯電話のシェアで最大手のNokiaがMicrosoftとの戦略提携を発表したことが会場でも話題になっていて、NokiaのCEO・Stephen Elop氏が講演に登場すると記者たちのフラッシュライトがひときわまぶしく光り、「時の人」であることを感じさせました。

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講演中のNokia CEO Stephen Elop氏。

 

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Windows Phone7は4メーカーからリリースされていた。写真は台湾HTC製。

 

スマートフォン分野ではAppleのiPhone、Androidに先を越されたMicrosoftと伸び悩むNokiaの提携は「弱者連合」とも揶揄されましたが、会場に展示されたWindowsPhone7のユーザーインターフェースの出来映えのよさに多くの人が惹き付けられていたこと、そして端末シェア世界一位のNokiaがAndroidではなく、WindowsPhone7向けスマートフォンのリリースに舵を切ったことを考えると、この連合は侮れない第三勢力になる可能性が高そうです。
また、タブレット型端末のリリースも相次いでおり、LG、Motorola、SamsungからはAndroidの最新OS・3.0Honeycombを搭載した高スペック端末が発表されました。

こうした派手な端末リリース合戦ばかりに目が奪われがちですが、MWC主催元のCFO、Michael O'Hara氏は、今年のMWCを把握する上で見逃せないポイントを語ってくれました。
「私たちの社会、生活のあらゆる場面をモバイルでコネクトするというコンセプトをもとに、会場では多くの企業がアイデアを具体化しており、モバイルによるコネクティビティの爆発的な加速は誰も止めることができません」。たとえば、モバイルでコネクトされた自動車は、安全走行、ナビ、燃費効率化など、人と車の関係をさらに進化させる。また医療分野でも、患者ー医者ー医療現場間をブロードバンドで結び、遠隔操作を可能にするモバイルHealthの分野にもイノベーションを期待させる。「これらのサービスを実現・進化させる上で、アプリの開発、そして4GやLTEと呼ばれる次世代高速通信規格の普及に注目してほしい」とも語りました。

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主催元GSMAのCFO Michiael O'Hara氏

 

アメリカの通信事業者Verizonのブースでは4Gによるテレビ電話のデモが行われており、画質の良さと通信速度の速さは特筆すべきものでした。高画質の動画を瞬時に送り届ける技術は、医療やライフライン系の情報伝達などに、特に相性がよさそうです。Samsungのように4G用のルーターを展示するメーカーもありましたが、全体的には4G向けの端末普及にはもう少し時間がかかりそうな印象です。
(次回に続く)

MWC2011のオフィシャルサイト
http://www.mobileworldcongress.com/

投稿者:事務局YT | 投稿時間:13:30 | カテゴリ:お知らせ | 固定リンク
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