1票の格差:衆院選違憲、東京高裁判決 判決要旨

毎日新聞 2013年03月07日 東京朝刊

 本件区割りについて国会が違憲状態と認識できたのは11年大法廷判決時と認めるのが相当。1人別枠方式の廃止を反映する是正を行うには、定数の再配分と相当数の区割りの見直しを要することが予想でき、違憲状態の状況下では早期の是正が要請される。そして選挙区画定審議会設置法の定める選挙区改定案作成、勧告のための期間(1年以内)、選挙区間の人口格差の「緊急是正法」の定める区割り改定案作成、勧告のための期間(6カ月以内)に照らせば、本件選挙時までに区割り是正が困難だったと認めるには足りない。国会における格差是正の取り組みについてもその経過が停滞していることを考慮すれば、合理的期間が経過していないと認めることは相当でない。

 違憲状態に至っていた本件区割りは11年大法廷判決時を起点として憲法上要求される合理的期間内に是正されないまま本件選挙に至ったと認めることが相当。本件区割りを定めた公選法の規定は違憲だったというべきである。

 <本件選挙の効力>

 区割り規定が違憲と判断され、これに基づく選挙を直ちに無効とした場合、当該選挙区の選出議員が存在しない状態で規定の是正を行わざるを得ないなどの事態が現出する不都合が生じる。よって選挙を無効としないことによる弊害や、諸般の事情を総合的に考慮し、事情判決の制度の基礎に存する一般的な法の基本原則を適用して選挙を無効としないのが相当か否かを判断するのが相当。

 本件では11年大法廷判決で区割りの違憲状態が明示され、投票価値の平等の要請にかなう立法的措置を講ずる必要がある旨の強い警鐘が鳴らされたにもかかわらず、是正が早急にされないまま本件選挙が施行されるに至った経緯は看過できない。しかし、国会において是正のための合理的期間を経過したと言わざるを得ないものの、11年大法廷判決の判示に従い区割りを是正する対応を示し、是正が期待できること、緊急是正法で選挙区間の格差が2倍未満に是正されることが予定されていることなどの事情を合わせ考察すると、本件選挙を無効とせず、選挙の違法を宣言するにとどめるのが相当である。

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