意外と知らない資金管理の基礎の基礎

2012/12/13 カテゴリ:相場の考え方
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business 18162 640 意外と知らない資金管理の基礎の基礎

読者の方から質問が上がった「資金管理」の話をしますね。
質問の内容は…

分割売買について書かれていたので、少しやってみたんですが上手くいかず収拾がつかなくなって混乱してしまいました。また「理屈でまず、勝てるルール(資金管理)」というのは、モンテカルロ法などのことを指してるんでしょうか?

2つ質問があがってますね。何事にもまず自分でやってみる姿勢はいいと思います。でも、「収拾がつかず混乱した」とあります…。

 

当たり前です!! 「分割売買」は理屈をきちんと頭に入れて、何度も練習しないと使えない技術なんです。闇雲にやったら、口座がすぐにふっとびますよ(笑)。

 

今日はギャンブルに例えて、資金管理の基本になる考え方を説明したいと思います。

 

期待値とオッズ

師匠(為替和尚)が、競馬に例えていたので、うちもその方向で。
中央競馬はフルゲート18頭ですが、ものすごい強い馬が2頭いて、他の馬が出走を回避し、結局出走頭数2頭になったと仮定します。

東京競馬11R 芝2400m G1 「為替和尚記念」
馬名 騎手 オッズ
1 1 アガリキャップ 河内洋 2.0
2 2 サガリマックイーン 武豊 2.0

しかし、サガリマックイーンとは、ツキが落ちそうな名前ですね(笑)。

 

実力拮抗なので、2頭についたオッズは2.0倍。あなたの資金は1000円だとします。さて、あなたならどう賭けますか?

(1)2頭に均等に賭ける

どっちが勝つかわからない。だから、2頭に500円ずつ賭けよう! 出走馬すべてに賭けるので、的中率は100%ですね。

 

100%的中するので、2.0×500円=1000円。つまり、「チャラ」です。
馬券を勝ってもチャラということは、参加してもしなくてもあなたの資金は変わらないということです。

 

これではおもしろくない。あなたは思うでしょう。

(2)1頭に満玉賭ける

オッズは拮抗している=実力伯仲。なら、どの馬買っても期待値は1/2だ!

そこで、あなたは1番アガリキャップに満玉1000円を投入します。
当たれば2.0×1000円=2000円。資金が2倍になります。
外れたら資金は0円。あなたの資金はすべてなくなります。

 

しかし、1/2の勝負とはいえ、1回の勝負ですべての資金をリスクにさらすのは、「博打」以外のなにものでもない。

 

でも、知らず知らずのうち、熱くなってこういうギャンブルトレードになっていることが結構あるんですよ。
これを投資に変えるには、リスクをコントロールする必要があるんです!!

胴元の取り分(控除率)入れると?

競馬には胴元(JRA)がいます。2頭出走して、どちらも2.0倍のオッズだと、胴元の取り分がないですね。だから、オッズというのは目減りするのです。

東京競馬11R 芝2400m G1 「為替和尚記念」
馬名 騎手 オッズ
1 1 アガリキャップ 河内洋 1.5
2 2 サガリマックイーン 武豊 1.5

これならどうですか?

 

同じオッズなので、期待値はやはり1/2です。どちらに張っても同じです。しかし、オッズが胴元の取り分だけ目減りしているので、500円ずつ張っても、500円×1.5=750円となり、2頭にかけて的中しても資金は目減りしちゃいます(「FXで勝つための2つの条件」という記事を参考にして下さい)。

 

この条件で勝つには、バランスを崩して資金配分の比率を変える必要があります。バランスというと、ついつい両建てを思い浮かべますが、どちらかに1頭だけを買う片ばりもバランスを崩した状態と言えます。

 

2頭を買うのが50%-50%のバランスだとすると、「アガリキャップ」1頭だけを買うのは、100%-0%のバランスだと言えます。

 

オッズが拮抗している状態というのは、FXでいうとレンジ状態ですね。
でも、いつまでもレンジは続かないので、オッズもたいていばらけます。

アガリキャップ  2.0倍

サガリマックイーン  3.0倍

※例えを単純にするために、控除率を無視します。

これだったらどうですか? アガリキャップに人気が集まり、1番人気になってます。みんなが、この馬が勝つと思っているから、馬券が売れて人気になります。サガリマックイーンは名前で敬遠されたのか、やや人気がないです。

 

オッズは、みんながこの馬が勝つと思えば人気になってオッズは下がり、勝ち目が薄いと判断されれば倦厭されて人気薄になります。
相場の場合、市場参加者が上がると思えば、買い方向に偏るし、下がると思えば、売り方向に偏る。つまり、

オッズの仕組みと市場心理
は似ている

ちゅうことです!


さて、バランスの話に戻ると、オッズがバラけているので、1000円満玉を

アガリキャップ  2.0倍×700円=1400円

サガリマックイーン  3.0倍×300円= 900円

人気のアガリキャップに多めに賭けました。サガリマックイーンが勝った場合は収支がトントンになるように配分します。

 

アガリキャップが来れば+400円の利益。サガリマックイーンが来ると-100円です。でも、2頭買っているにもかかわらず、資金配分は均一じゃないですね。これが

バランスを崩した状態

なんです! もともと、実力拮抗だったから、期待値は1/2だったはず。でも、アガリキャップ有利と見るや、アガリキャップのほうが人気になる。だから、あなたもアガリキャップが来る確率にかけて、「資金配分のバランスを崩して」アガリキャップに厚く賭ける。

 

その結果、アガリキャップが来れば、+400円のリターンを得られ、サガリマックイーンが来た場合には、逆に-100円の損をします。
つまり、リスクは-100円、リターンは+400円。「リスクリワードレシオ」は1:4になります

追い上げとの違い

最後に、追い上げとバランスの違いを書きます。
追い上げは、基本的に片バリでつかうものです。さきほどの例でアガリキャップの2.0倍にかけ続けたとしましょう。アガリキャップが来る期待値は1/2です。

 

1回目: 賭け金=100円  不的中

2回目: 賭け金=200円 不的中

3回目:賭け金=400円 的中  400円×2.0=800

収 支: 100円=払い戻し(800円)-賭け金(700円) 

これが基本です。マーチンゲール、モンテカルロ法、ウィナーズ、馬法の方程式など、さまざまな追い上げ法がありますが、追い上げをひとことで説明すると

的中率を次回投入資金
でコントロールする

ってことなんです!!


さぁ、まとめますよ。

 

「バランスを崩す」というのは、基本両建て(全通り買い)です。でも、どこかのタイミングで資金配分を変えて、儲けの出そうな方に厚く賭けるやり方です。

 

「追い上げ」は、基本片張りです(不的中リスクあり)。だから、不的中のリスクを次回投票金額を変えてコントロールするやり方です。

似て非なるものです!!

こう書くと、違いがわかってもらえると思います。
とりあえず、まずしっかりとした根拠でエントリーできることが先決ですね。

自分のルールをキチンと明確にするのが先決ダヨ

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この記事に対するコメント

6 件のコメント

  • 益子
    2012/12/13 19:06

    今回の記事ありがとうございます。すごくわかりやすかったです。
    和尚さんの記事だと余計わからなくなってしまいモヤモヤしていたのが晴れました。ただ、これをFXでどう使っていくか、またこれを反復練習してできるようにならないとだめですよね。初心者はまずこれを
    何度となくやったほうがいいという例があったら書いてもらえるとありがたいです。今後も楽しみにしてます。

  • まつもと
    2012/12/13 21:56

    とっても面白いです!
    またの更新を楽しみにしております^^

  • 2012/12/14 10:13

    FXに応用するには、まず上記の基本的な考え方を腑に落とす必要があります。
    この記事は原理を説明しているにすぎないので。
    資金管理はたしかに大事です。特に大事なのはリスクリワードレシオの考えです。記事の中でちょっと触れている、アガリキャップに満玉つっこむのくだりの部分をまず意識してみて下さい。

    1000円しかないのに、1000円すべて賭けるというのは、期待値が1/2の勝負とはいえ、やはりバグチをうっているとしか思えないです。
    ダメだったらどうしようを念頭に置く必要があります。

    自分の勝率(期待値)に対して、どのぐらいの損切りライン(リスク)を設定すべきか、紙の上でエントリーと損切りラインをきちんと決めるところからはじめてみてはどうでしょうか?

    分割売買とかはその先の話ですよ。

  • 益子
    2012/12/15 08:18

    「紙の上でエントリーと損切りラインをきちんと決めるところからはじめてみてはどうでしょうか?」これ、自分できてないです。やってみます、ありがとうございます。

  • 匿名
    2013/03/30 01:11

    こんにちは
    アガリキャップ 2.0倍×700円=1400円
    サガリマックイーン 3.0倍×300円= 900円
    とした理由が理解出来ませんでした

    例えば、どちらかになる確率が不明だが確実にどちらかになるのであれば、
    単なる裁定取引の機会となり
    アガリキャップ 2.0倍×600円=1200円
    サガリマックイーン 3.0倍×400円= 1200円
    とも掛け金を振り分けるのが合理的と思います。

    もしくは、どちらかになる確率がそれぞれ1/2と見込むのであれば
    アガリキャップ 2.0倍×500円=1000円
    サガリマックイーン 3.0倍×500円= 1500円
    が損を限定する最適な振り分け方と思います。

  • 2013/03/30 08:22

    匿名さんはたぶん戻ってこないと思いますので、同様の疑問を持った人のために、記事の趣旨に沿った回答を書いておきます。

    もともとは、1/2の確率のものを両方買うわけだから、同じ金額を投入すればいつまで経っても損得なしの状態が続くってことです。これがオッズ1.5倍のとき。

    質問にあった

    アガリキャップ 2.0×700円
    サガリマックイン3.0×300円

    のくだりですが、まず予算は1000円なので、それを超える金額設定をしている匿名さんの数値設定は論外です。
    大事なのは、確率が1/2であればオッズは1.5倍ずつになっているはずです。しかし、2.0と3.0となっているということは、アガリキャップのほうが人気があるといえます。人気があるというのは、FXでいうと買い圧力が強め、売り圧力が強めという状態を指します。

    つまり、両建ての状態でも圧力がかかっている方向にバランスを崩せば、利益が出るというのが記事の趣旨です。そのあと赤字で「バランスを崩した状態」と書いているのでわかると思います。

    常に1/2の確率というのは机上の空論であり、相場で言うとどこまで言ってもレンジ相場だといえます。だから、基本は圧力の高くなった方向にバランスを崩すのが正解です。

    オッズが高い方により大きく貼るというのは一見合理的ですが、みんなが買わない方により大きく貼るというのは、相場に置き換えると逆張りになります。

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